研究課題/領域番号 |
24700602
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
佐藤 拓 仙台高等専門学校, その他部局等, 助教 (30451545)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 非接触電力伝送 / 充電状況推定 / 心臓ペースメーカ |
研究概要 |
本研究は非接触充電時における2次側インピーダンスの変化(すなわち充電状況)に注目し、その変化から充電状態を推定するシステムを確立するものである。 24年度(初年度)前期には、金属ケースを有しない一般的な非接触電力伝送において1次側パラメータから体内の充電状態を推定できることを確認した。しかしながら本研究が目標としている2次側コイルをチタンケースに封入した実装状態(伝送コイル間に金属が介在する状態)では本推定式のままでは充電後半には実際よりも低く推定されることが判明した。そのため推定式の見直しが急務となった。 24年度中期では伝送コイル間に金属(チタンケース)が介在する場合の推定式を、これまでの測定データを解析し、従来の推定式に実験値から求まる補正項を加えることで実現した。具体的には実験結果からチタンケースに生じる渦電流損に相当する直列等価抵抗を換算し、1次側損失分として推定式に補正する方法をとった。 24年度後半にはチタンケースをコイルと見立てた等価回路での理論解析を進め、実験結果から得られた補正項に相当する項が理論解析からも導出できることが分かり、実験と理論解析の両面から新しい推定式の妥当性が確認できた。現在は非接触電力伝送に関わる計測環境の自動化を検討中であり、実験データ収集の効率化を目指している。これにより充電状況推定に係る実験データの収集を効率よく進められる環境を整える。 最終年度(25年度)はこの新しい推定方式の妥当性を確認するための検証実験に注力して取り組んで行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度(初年度)前期では本研究室で前年度に提案した従来の推定式の妥当性を評価し、金属ケースを有しない一般的な非接触電力伝送において1次側パラメータから体内の充電状況(2次側インピーダンス)を充分に推定可能な良好なデータを得た。しかしながら本研究が目標としている2次側コイルをチタンケースに封入した実装状態(伝送コイル間に金属が介在する状態)では充電が進むにつれて充電状況が最大50%低く見積もられる状況が確認された。この誤差は当初の研究計画では想定しておらず、我々の研究室で考案した推定式の見直しが急務となった。この誤差の原因はチタンケースに生じる渦電流損が原因であると考え、電力伝送に係わる損失の内訳を解析することで新たな推定式の検討を進めた。 24年度中期には伝送コイル間に金属(チタンケース)が介在する場合の補正式を測定データから解析し、チタンケースに生じる渦電流損に相当する直列抵抗成分を推定式に組み込んだ新しい推定式を考案した。また、チタンケースをコイルと見立てた等価回路による非接触電力伝送モデルの理論解析を進めた結果、同様の項が導出され、新しい推定式の理論的根拠が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今回新たに提案したチタンケースを考慮した推定式の妥当性の評価を最優先とする。本推定式ではコイルの結合係数(結合度合)を式中に含むため、コイルの結合状況(位置ずれ)により少なからず推定誤差を含む。そこで、その誤差を補正する方法または対策方法について検討する。進捗状況によりシステムを試作し、提案する推定方法の評価、更には体内回路の発熱評価に着手する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度は電子負荷装置を用いて充電状況を模擬した測定データを収集し、提案する充電状況推定方法の評価を行う。回路基板を試作し、動作や発熱の評価などを行う。(パソコン、CAD、磁場解析ソフト、LabVIEW、電子部品、温度計、ロガー)
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