体内に埋め込まれたペースメーカの充電状況をワイヤレス給電時に体外から計測するシステムの構築を目指し,充電状況に対応してインピーダンスが変化することに着目してその変化を外部から測定することで充電状況(電池残量)を見積もる方法を検討した.本採択課題ではコイル間に金属ケースが介在する場合には極めて困難であった充電状況の推定を解決する新たな計測方法を提案することに成功した. 24年度(初年度)前期には金属ケースを有しない一般的な非接触電力伝送において1次側パラメータから体内の充電状態が推定できることを実証した.しかしながら伝送コイル間に金属が介在する状態では本推定式のままでは充電後半では推定誤差が増加する傾向があることが分かり,その原因解明とそれを解決する新たな方法の提案が課題となった.そこで24年度中期には,これまでの測定データを解析し従来の推定式に実験値から求まるチタン損失抵抗RTを補正項を加えることによって金属ケースがある場合においても充電状況を精度良く推定することに初めて成功した.25年度にはチタンケースをコイルと見立てた等価回路での理論解析を進め,実験結果から得られた補正項に相当する項が理論解析からも得られることが分かり,実験と理論解析の両面から新しい推定式の妥当性を示唆する結果を得るまでに至った.現在はこれらの研究成果を基に体外側充電器の試作を進めている.
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