研究課題
本研究では,主に高齢者を対象に,ロボットを用いた対戦型ゲームにもとづく介護予防運動システムの実現を目指す.利用者にとって身近であると予想されるゲームを基盤に,今後衰弱する恐れがある身体部位の機能維持・回復を促す運動をゲームに組込み,ロボットと競い合いながら実践してもらう.ロボットは人工知能的アプローチを通じて,利用者の習熟に応じた適切な対戦相手となる.利用者はロボットに勝つ方法を考える必要が生じ,継続的な介護予防を実現可能である上,認知症予防効果も期待できる.また,人間とロボットの対話的やり取りを通じて,人間がロボットを身近な存在として受け入れ可能となることを目的としたヒューマンエージェントインタラクションの概念を導入することで,高齢者がロボットに親しみを持ち,楽しみながら介護予防運動を継続可能なシステムを構築する.今年度は昨年度の研究成果を踏まえ,利用者がロボットに対してより親近感を抱くよう,発話内容の追加・修正や,ゲームにおける形勢に応じた振舞を実現するとともに,利用者の疲労度に応じて運動負荷を調整する機構を導入した.近隣の保健福祉センターにて1ヶ月間の実験を実施し,①高齢者がシステムを利用することで,システムやロボットへの親近感が増し運動への意欲が刺激されるとともに,運動に対する不安やロボットへの違和感が軽減すること,②運動負荷調整機構により,利用者の状況に応じて適切な負荷の運動を提供可能であることを確認した.これまでの結果について,国内学会,国際会議,および国内学術雑誌において成果の発表,公表を実施した.今後はシステムのさらなる改良,実用化を目指し,利用者との相互作用の充実,様々な身体部位の機能維持・向上に貢献する運動やゲームの追加を実施し,不特定多数の利用者へ長期間の実験を実施することで,システムのより詳細な特徴,性能について検証を進めていく予定である.
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電子情報通信学会論文誌講演論文集
巻: Vol. 97-A, No. 6 ページ: 406-410