日本では65歳以上の人口が総人口の2割を超え、さらに増加の一途にあるなか、高齢者介護に伴う問題は今後ますます重要な課題となる。近年、介護者の不足によりいわゆる在宅介護、訪問介護が増加しつつあり、そうした在宅の要介護者の日常の生活スタイルや健康状態をケアしつづけることは介護者の大きな負担となっている。以上を背景として、本研究では、要介護者の生活情報、健康情報をライフログとして詳細に取得可能なウェアラブルデバイスおよびそのインターフェースユニットを開発し、同システムにより要介護者の総合的な健康管理システム、安否確認システムを構築することを目的とする。 平成26年度は昨年度に引き続き,申請テーマに基づき製作した計測チャンネル数を増設した感圧ウェアを用いた生活動作や整理情報の計測を複数の対象者について行った。具体的には関節動作の計測精度の検証および日常生活の動作認識試験,さらに就寝時の呼吸計測について実験を行った。また活動評価として計測結果をもとにニューラルネットワークによる行動判別を行った。実験結果より,服による生活者の呼吸,身体動作の計測が可能なことが明らかとなった。また生活動作の判別を計測結果より行った結果,10パターンの行動判別で5割程度の判別率を得ることができた。判別率の面で改善の余地はあるが,計測箇所のさらなる増加や,信号処理方法の修正により,この確率を向上させることは可能であると考えられる。これより,利用者の過度のプライバシーの侵害を行うことなく,かつ身体各部の状態をライフログとして取得し,その生活情報・健康情報を細やかに見守ることができるデバイスが実現可能であることが示された。
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