研究課題/領域番号 |
24700613
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
角 友起 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (50551363)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サッケード / 運動学習 / 誤差 |
研究実績の概要 |
我々が行う身体動作がその正確さを保つためには、運動学習という脳可塑性の機構が不可欠である。運動学習の成立には、行われた運動の不正確さを示す”誤差“の感覚情報が必要となる。この感覚情報を基に、次の運動をどのように変化させるべきかを指示する“学習信号”が脳内で生成され、運動制御回路に可塑的変化をもたらすと考えられる。しかし誤差情報がどのような情報処理過程を経て学習信号に変換されるのかについては、不明な点が多い。本研究では随意運動学習の典型であるサッケード適応について、誤差の感覚情報が学習信号を生み出すまでの脳内メカニズムの解明に迫るのが本研究の目的である。平成26年度では明確な視覚誤差は無いが修正運動が要求されるサッケード運動課題において、運動学習が誘発されるかどうか検証した。円の中心に向かってサッケードを行い、サッケード中に円が運動と同方向あるいは逆方向にシフトする改変サッケード学習課題を用いた。被験者はサッケード終了後に再度(シフトした)円の中心に向かって修正サッケードを行った。試行を繰り返すと初発のサッケードの振幅が徐々に変化し、サッケード終点はシフト後の円の中心位置に近づいていった。これは視覚誤差情報のみではなく、誤差を修正する運動指令の信号がサッケード学習を引き起こすことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成26年8月に現職へ異動したため、それに伴う種々の引継ぎ業務等に数ヶ月を要し、その期間は研究に従事できなかった。異動に伴い、研究機器の解体、輸送、移管などの手続きを経て、現研究機関において実験環境の再構築を行う必要があった。研究スペースの確保、機器の再設置、明度や騒音の調整、プログラムチェックなどの再セットアップなどが必要となり、実際の実験に入るまで相応の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は計画されている実験を実施し、その結果も合わせた形で全体のまとめを行っていく予定である。研究成果は論文にまとめ、研究雑誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定であった実験機器購入費、ソフトウェア購入費、謝金、学会発表旅費、論文校閲料、学術雑誌投稿料などが未使用額として残った。
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次年度使用額の使用計画 |
計画終盤で用いるレスポンスボックス、センサ、データ収録装置等の購入費、謝金支出、学会発表旅費などで使用する予定である。
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