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2013 年度 実施状況報告書

近代日本における柔道教育の歴史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24700622
研究機関和歌山大学

研究代表者

池田 拓人  和歌山大学, 教育学部, 准教授 (90372672)

キーワード近代日本 / 学校体育 / 柔道指導法 / 初心者指導 / 柔の形 / 精力善用国民体育
研究概要

明治44年(1911)、「中学校令施行規則」の一部改正により、はじめて学校体育の教材に武術が採用された。しかしながら、文部省は、昭和11年(1936)の第二次改正学校体操教授要目で明文化されるまで武術の教授内容・方法については一定の方式を示さなかった。そのため、この間、現職教員を対象とした文部省主催武術講習会が毎年開催され、そこで指導された講習内容が実質的な教授要目の役割を果たした。柔道の講習内容では、投技について難易度別に五段階に配列された講道館の「五教の技」が中心に据えられ、初心者を対象とした学校の柔道授業における段階的指導の方法として位置づいた。また、技の練習に入る前の導入教材として「柔の形」が提示され初心者指導法として整備されていった。さらに、小学校への正科導入を企図して、「柔の形」を中心にした実践研究が大正期には盛んに行われる。昭和初期になると、学校体育はもちろんのこと、老若男女が行い得る国民体育法として「精力善用国民体育」が嘉納治五郎によって考案される。このように近代日本において柔道が教材化され指導法が整備・確立されていく過程について、本年度は考察を行った。
その結果、柔道を近代的な学校体育教材とすべく、初心者を対象とする学校授業における指導法を整備・確立していった嘉納の工夫の過程が明らかになった。乱取技の段階的指導の方法としては「五教の技」を提示し、また初心者指導の導入には体育的な形として考案された「柔の形」によって行い、さらに最良の指導法の集大成として「精力善用国民体育」が教材化された。
乱取を中心として競技的関心により普及を始めた柔道を学校体育(さらには国民体育)として広く行い得るものとするため、乱取を補完するものとして「生涯性」や「武術性」を持った形の重要性が増し、乱取から形への回帰が嘉納によって図られたと言える。
なお、上記研究成果を関係学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に示した本年度の研究計画について、おおむね予定どおり課題の解明を達成できており、その成果内容を関係学会において口頭発表できたため。

今後の研究の推進方策

次年度は、これまでに明らかにした内容について学会誌への論文投稿をするとともに、新たに進捗した部分については関係学会において口頭発表を行い、他の研究者諸氏の批判を受けることで本研究課題のさらなるブラッシュアップを図り、本研究課題全体の集大成を図っていく。

次年度の研究費の使用計画

旅費として予定していた分から若干の端数(数千円)が生じたため、次年度に繰り越して有効活用する。
次年度予定の旅費と合わせて使用する。使用計画の内訳は、成果発表のための旅費および資料調査のための旅費となる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 近代日本における柔道指導法の確立過程に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      池田拓人
    • 学会等名
      日本体育学会第64回大会
    • 発表場所
      立命館大学びわこ・くさつキャンパス
    • 年月日
      20130828-20130828

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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