現在,大学院を含めた教職課程の質保証の検証が焦眉の課題となっており,それを各教科レベル,つまり教科教育の視点から検証すること求められている。そこで,国内外の知見を踏まえた上で,カリキュラム改善の視点を浮き彫りにすれば,学部と大学院の一貫を意図した(体育)教員養成カリキュラムを構築することが可能となる。また,中教審答申(2012)にも重要な示唆を与える基礎資料となり,わが国の教師教育改革への示唆が期待される。 そこで本研究では,教員養成における学部・大学院一貫を目指した体育教員養成カリキュラムの開発とその実践を検証することを目的とした。そのための具体的な研究課題について,以下に3点を設定した。 第1に,国内外の先駆的な体育教員養成カリキュラムとそのアセスメント方法について調査研究した(研究課題①)。第2に,ここ5年間の科研の成果で開発した「実践的指導力」の能力規準とアセスメント・モデルを視座に置きつつ,学部・大学院一貫の体育教員養成カリキュラムを開発した(研究課題②)。第3の研究課題は,その開発した体育教員養成カリキュラムの一部を試行的に実践かつ検証をしながら,継続的にアセスメントをすることで改善点を導出しながらカリキュラムを再構築した(研究課題③)。 1 年次は,国内外における先駆的な体育教員養成を実施している大学を調査研究(量的かつ質的な調査)し,その実態や課題を把握した。とりわけ,国内では教職大学院を行っている大学,そして国外はNIE を保持するシンガポールであった。2 年次は,引き続き国内外(とりわけ,「5 年制教員養成」を行っている大阪教育大や米国のミシガン州立大学)の調査研究し,事例的なインタビュー調査も実施した。3 年次に,その2 年間のデータを検証かつ整理し,学部・大学院一貫を意図したカリキュラムを構築しつつ,改善点も明らかにした。
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