素朴概念とは、学習者が経験的に身につけている知識であり、この知識が新しい知識の習得を妨げたり促進したりしている。本研究では、体育授業において新しく学習する知識・技能の習得に関わる素朴概念を解明し、学習を阻害している素朴概念及び促進している素朴概念の実態を明らかにすることを目的とする。そのため、体育授業におけるバレーボールのオーバーハンドパスの技能の習得に関わる学習者の素朴概念について、小学校高学年段階の児童を対象に、素朴概念調査票を開発し、発達段階の違いによる学習者の素朴概念の実態及びパフォーマンスとの関係性について明らかにする。 上記目的に照らし、平成26年度は①新しく開発された小学生用の素朴概念調査票を用いて調査の実施、②これまでに得られたデータについて、調査表については単元前後の変容可能性を分析し、児童のオーバーハンドパスのパフォーマンスについては映像分析ソフト(スタジオコード)を用いて分析した。得られた結果は、日本体育学会で発表を行った。
①昨年度に作成した小学生用の調査を用い、小学校6年生の児童を対象に、素朴概念調査票を用いた調査を行った。また、ネット型ゲームの単元を実施し、オーバーハンドパスに関する知識の変化とパフォーマンスの変化を調査した。 ②得られたデータについて、単元前後における変化についてデータ分析を行った。その結果、小学生においても素朴概念を所有していることが明らかになった。 今後は、この素朴概念を修正させるための有効な学習指導方略について、検証する必要が求められる。
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