運動器の強度や機能維持には、跳躍運動を含むhigh impactな身体活動が必要となる。一方で、運動器の構築に必要な血中ビタミンD(VD)は若年女性において低値であることや季節変動があることが知られている。そこで、血中VDの季節変動が運動器および運動機能に与える影響について明らかにするため、継続的な運動習慣を有する者が多い体育系女子大学生を対象に、血中VDおよび各種生化学マーカーおよび骨強度、体力を測定し、同時に傷害調査やコンディション調査、運動習慣(練習内容、環境)の調査を行い、練習環境の異なる(屋内・屋外)スポーツ種目を対象に血中VDとコンディションの季節変動の相関性を検討した。 本研究の結果、血中VDは3月(冬)において最も低く、9月(夏)において最も高値となり、その変動は屋外スポーツ競技者よりも屋内スポーツ競技者においてより顕著に観察された。また、血清カルシウムは血中VDの変動と同様に変化し、副甲状腺ホルモン(PTH)は血中VDとは反対に変化した。骨強度は、血中VDの変化より3か月程度遅れて、6月に低値を示し、12月に高値となった。しかし、体力においては練習量などの影響などもあり差はみられなかった。 以上のことから、1年を通じて日照時間が短くなりやすい屋内競技者は冬季において、明らかなVD不足を招き、それにより骨の健康に悪影響を及ぼすことが示唆された。これらのことから、競技スポーツ選手の指導現場においては、傷害を未然に予防し、常に最高のパフォーマンスを発揮するために、また、学校体育および一般市民レベルに対しても生涯にわたって骨粗鬆症や生活習慣病を予防するためには、屋外での運動や食事によるVDの摂取などVDを高める方法が必要であると考えられる。
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