本研究は,人間が外部入力から空間的・時間的に切り替える方向を強制(制約)された状況のとき,人間の動作に潜む規則性・法則性を,離散力学系と連続力学系を混合した非自励系力学系理論に依拠して明らかにすることを目的とした.測定の課題は,1つの動作が繰り返される蹴動作と2つの動作を混合した捕・投動作であった.実験測定および解析の結果,蹴動作あるいは捕・投動作のいずれの課題においても,1)切り替える動作のパターンにはフラクタル状あるいは自己相似の構造が潜んでいること,2)一定の時間あたりの運動の頻度(蹴る回数や捕・投の回数)が増えると,フラクタル遷移の様相が変化することが示唆された.
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