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2012 年度 実施状況報告書

身体に根付いた学びに対する実践的理論研究―身体志向の心理療法を中心として

研究課題

研究課題/領域番号 24700633
研究機関関西大学

研究代表者

小室 弘毅  関西大学, 人間健康学部, 助教 (30551709)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード国際情報交換
研究概要

本年度は平成24年7月4日から7月8日までと10月31日から11月4日までのBio Integral Psychotherapy Schoolのセラピストトレーニングに参加し、参与観察を行った。7月はルーベンス・キグネルよりBiosynthesis、10月はフランソワ・レヴィンよりBiodynamicsという、臨床の学である身体心理療法の知に関する教示を受けるとともに、参与観察により研究者自身の身体の経験を体験的に検討した。そのことにより、臨床的知の記述である、本研究が対象とする基礎文献の解釈は、読み手(研究者自身)の身体経験の深まりにより大きく左右されることが明らかになった。つまり、生田久美子の「わざ」研究と同様、書き手(師匠)と読み手(弟子)との身体感覚の共有が身体心理療法の文献を読み解く鍵となるのである。
そして、本研究における参与観察を通じて、対象とする身体心理療法において、その流派の差異を超えて重要視されているのが、セラピストの「存在」(「プレゼンス」)であることが明らかとなった。どの技法を用いるかという問題以上に、「誰が」それを行うかというセラピストの個別具体的な存在の問題の方が、クライエントが癒されていくプロセスに与える影響は大きいのである。
よって、本研究では、そのセラピストの存在のあり方に焦点を当てている身体心理療法であるHakomiも検討の対象とすることとした。まず、そのセラピストの存在の問題を検討しなければ、身体心理療法の基礎文献の解釈も、それの教育学への応用も、大きく的を外してしまうことになるからである。その成果を「『プレゼンス』の技法―ハコミの『ラビングプレゼンス』概念から」(日本トランスパーソナル心理学/精神医学会誌に投稿、審査中)という論文にまとめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度計画していた参与観察とBio Integral Psychotherapy Schoolの海外、国内トレーナーからの教示により、身体心理療法の流派の差異以上に、セラピストの「存在」のあり方が重要であることが明らかとなった。これは、当初の計画では予測できなかったことであり、結果として研究対象を広げることとなったが、そのことにより研究はより進展していったと考える。研究対象を身体心理療法であるHakomiにまで広げた結果、本年度当初に計画していた研究対象である、身体心理療法Biosynthesisに対する検討を十分に行うことはできなかった。しかし研究対象を広げることにより得られた知見は、研究の目的に沿うものであり、対象の変更を行うことにより、より研究の目的の達成度は高まったと考える。
また、Biosynthesisの基本文献である、「Life stream」の検討、考察も当初の計画よりは遅れているが、着実に進展している。
一方の教育学における研究対象である竹内敏晴の文献に関しては、基本文献の収集はほぼ終了し、そのうちの何点かの検討、考察も進行中である。
以上を総合的に自己点検すると、研究対象の広がりという変更点はあるものの、それは研究の目的に合致したもの、研究をさらに進展させるためのものであり、評価は「おおむね順調に進展している」と考えることができる。

今後の研究の推進方策

今後の研究に関して、本年度得られた成果をもとに、さらに研究を進展させていく。具体的には、当初の研究計画通り、引き続きBio Integral Psychotherapy Schoolに参加して、参与観察するとともに、海外トレーナー、国内トレーナーよりさらなる教示を得、身体心理療法Biosynthesis、Bioenergeticsの基本文献の検討と考察を行う。また教育学における竹内敏晴、齋藤孝の文献に対する検討と考察を行い、身体心理療法の視点から教育学における身体の重要性を明らかにしていく。特に、本年度はBioenergeticsの重要な概念である「grouding」の教育学的意義を明らかにする。
あわせて、本年度得られた知見をもとに、身体心理療法の流派にとらわれるのではなく、その核心に共通するものを明らかにし、それを研究の俎上に乗せていく。研究の主眼はあくまで、当初の計画通りBiosynthesis、Bioenergeticsに置くが、研究の目的を達成、進展させるために必要な、Hakomiなど他の身体心理療法の検討、考察も行っていく。そしてそこで得られた成果を反映させ、教育における学びと身体の関係を明らかにしていく。

次年度の研究費の使用計画

研究費の使用に当たっては、当初の計画通り、Bio Integral Psychotherapy Schoolにおける参与観察のための、参加費、交通費、宿泊費への支出を行う。また研究対象の拡大に伴い、Hakomi等、他の身体心理療法に対する調査も行うため、そのための調査への支出も行う。
また本研究は文献研究を基盤とするため、当初の計画通り、引き続き教育学における身体をテーマにした図書の購入、身体心理療法関係図書の購入を行う。身体心理療法関係図書に関しては、研究対象とする範囲を広げたため、そのための図書の購入も行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] マインドフルネスと身体―身体心理療法「ハコミ」の原理と思想から―2012

    • 著者名/発表者名
      小室弘毅
    • 学会等名
      日本人間性心理学会
    • 発表場所
      宇部フロンティア大学(山口県)
    • 年月日
      20120922-20120923
  • [学会発表] 逆説の技法 ―身体心理療法ハコミの原理から―2012

    • 著者名/発表者名
      小室弘毅
    • 学会等名
      日本ホリスティック教育協会研究大会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      20120602-20120603

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公開日: 2014-07-24  

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