• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

アスリートの対話的競技体験がパフォーマンス発揮に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 24700642
研究機関筑波大学

研究代表者

宮田 香織 (江田 香織)  筑波大学, 体育系, 特任助教 (30612478)

キーワード対話的競技体験 / グループ箱庭体験 / アスリート / 心理的発達 / 競技力向上
研究概要

本研究は身体に注意を向け,様々な間隔や感情等と向き合う体験様式である対話的競技体験がアスリートの競技力向上と心理的成長の両側面の発達を促進するという仮説を検証することを大きな目的としている.
本年度は,集団競技においてアスリートの対話的競技体験が競技パフォーマンスに与える影響を検討するため,集団競技のアスリートにおける対話的競技体験を「グループ箱庭」による介入によって促進し,その影響(集団効力感,パフォーマンスの検討,心理的競技能力,対話的競技体験,内省報告)を明らかにすることを目的に検討を行った.
その結果,介入を行ったチームは集団効力感や心理的競技能力,対話的競技体験が促進された.グループ箱庭体験では,日常とは異なる箱庭という空間で,選手はアイテムを介して相互に係わり合う経験をし,非言語的にコミュニケーションをとっていた.こういった非言語的な係わりを通してチームメンバーはそれぞれが何を考えているのかを読み取ろうとしたり,自分自身の非言語的なメッセージがどのように伝わるのかを考えるようになり,自分自身やチームメンバーとの対話を促しているようであった.こういったグループ箱庭体験での取り組みと同期して,競技場面でも,それぞれのポジション間での相互理解を促すトレーニングが行われ,選手たちは積極的にコミュニケーションをとることが多くなっていった.
指導者によると,これまではチームメンバーの連携が上手くいかなかったが,介入後は,選手同士が連携したプレーが多くなり,競技成績も全国で上位の成績を納めることができたとの報告があった.
以上のことから,グループ箱庭体験によって対話的競技体験を促進することによって,競技力も向上することが確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り,対話的競技体験が競技力向上に与える影響について検討することができた.今後は,これまでの研究成果を考慮し,対話的競技体験を促進するメンタルトレーニングプログラムの検討へとつなげていきたいと考えている.

今後の研究の推進方策

今後は,これまでの研究成果を生かし,対話的競技体験を促進し,競技場面へと般化させるメンタルトレーニングプログラムについて検討していく予定である.
所属大学である筑波大学では,毎年スポーツクリニック・メンタル部門主催で,メンタルトレーニング講習会(週1回・2時間・10週間のプログラム)を20年間行っている.本講習会は,心理面の強化を目的とする心理技法の提供だけに留まらず,技法を通して自分自身の競技体験を振り返る作業を行うとともに,グループ箱庭や描画を取り入れ,内的変容を視野に入れた取り組みを行っている.つまり,本講習会の内容は受講者が身体を通して自身と向き合う対話的競技体験を体験する機会となっている.
講習会という特性上,限られた時間でのみ受講生と係ることになり,受講者がメンタルトレーニングで体験した内容を競技場面に般化させるところまで関わることはできない.しかし,これまで本講習会に参加した受講者の中には,講習会中に競技への取り組みが変化し,講習会終了後,飛躍的に競技力向上した者もいた.これらの選手はメンタルトレーニングにおいて,対話的競技体験の体験様式を身につけ,講習会終了後も主体的に対話を深めていったものと考えられる.
これまでの受講生の日誌や箱庭および描画作品などのデータが保管されている.これらのデータを分析し,さらに過去の受講者にインタビュー調査を行うことによって,メンタルトレーニングにおいて対話的競技体験を促進し,競技場面に般化させる要因や機序について検討する.
メンタルトレーニングによって,対話的競技体験が促進され,競技場面への般化の要因や機序が確認できれば,メンタルトレーニングにおいて,心理的成長や競技力の向上につながる参加者の体験世界を理解する手がかりとなるとともに,メンタルトレーングを行う指導者側の関わり方にも有益な示唆を与えることになる.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「臨床スポーツ心理学の方法とその展開」をいかに実践・研究につなげるか2014

    • 著者名/発表者名
      江田香織
    • 雑誌名

      臨床心理身体運動学研究

      巻: 16 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] Mental training for team sports currently undertaken in Japan and suggestions for the future.2013

    • 著者名/発表者名
      Kaori Eda, Daisuke Takeda
    • 学会等名
      The International Society of Sport Psychology
    • 発表場所
      Beijing Sport University (Beijing, China)
    • 年月日
      20130723-20130723
  • [学会発表] Internal task hidden in athletic performance problems in college athletes: analysis by the landscape montage technique.2013

    • 著者名/発表者名
      Katsuhiko Kotani, Daisuke Takeda, Kaori Eda
    • 学会等名
      The 18th annual congress of the European College of Sport Science.
    • 発表場所
      National Institute of Physical Education of Catalonia(Barcelona, Spain)
    • 年月日
      20130628-20130628
  • [学会発表] Athlete’s internal tasks and expressions of body. -Case study of psychological support with Japanese elite athlete-.2013

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Takeda, Katsuhiko Kotani, Kaori Eda
    • 学会等名
      The 18th annual congress of the European College of Sport Science.
    • 発表場所
      National Institute of Physical Education of Catalonia(Barcelona, Spain)
    • 年月日
      20130628-20130628
  • [図書] 女性アスリートのための傷害予防トレーニング2013

    • 著者名/発表者名
      江田香織
    • 総ページ数
      162
    • 出版者
      医歯薬出版

URL: 

公開日: 2015-05-28   更新日: 2015-06-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi