研究課題/領域番号 |
24700646
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 克昌 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (90313329)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | スポーツ工学 / 機械力学・制御 / 有限要素解析 |
研究概要 |
本研究は,有限要素法を用いてスイング中におけるクラブの挙動およびクラブによってインパクトされたボールの挙動を高い精度で表現できるシミュレーションモデルを構築するとともに,そのモデルを用いてクラブの挙動やボールの打ち出し(速度,角度,スピン)を指標としたクラブの性能評価方法を開発することを目的としている.本年度は,モデルを構築するためにゴルフロボットを用いてスイングからインパクトまでを再現する実験を実施するとともに,有限要素法を用いてモデルを構築し,そのモデルの精度を実験結果との比較から検証することによりモデル化手法の有効性を示すことを中心に研究を行った. まず,ロボットを用いた実験から,スイング中のクラブ挙動とボールの打ち出しを,それぞれ光学式モーションキャプチャシステムと高速度ビデオカメラを用いて撮影した.また,同時にシャフトの挙動を把握するために,シャフトのひずみ応答を計測した.この実験を通して,モデルを構築するために必要なスイング運動を取得するとともに,モデルの精度を検証するための高精度な実験データを取得することができた. 次に,実験より得られたロボットのグリップ部の動きから,スイング運動を,ロボットの上肢,手首,シャフト軸まわりの各回転によって表現するような,有限要素法によるスイングのモデル化手法を構築した.そして,この手法を適用して,スイングからインパクトまでを一連に扱うことができるシミュレーションモデルを構築した.同時に,解析から得られたクラブの挙動,ボールの打ち出し,シャフトのひずみ応答を実験結果と比較することにより,構築したモデルが高い精度を持つことを確認するとともに,この手法を異なるスイングに対しても適用して同程度の精度が得られることを確認することにより,このモデル化手法の有効性を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するためには,スイングからインパクトまでを一連に扱うことができるシミュレーションモデルを構築することが必須であり,本研究の達成度を判断する上での大きな指標となる.この点において,このモデルを本年度内に構築できたことは,本研究の全体計画において,おおむね順調に進展していると判断できる理由である.また,構築したモデルは,実験結果との比較から高い精度を持つことが確認できているとともに,異なるスイングに対しても適用できることが確認できていることから,今後の研究を推進する上でも有用なモデルになっていると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,構築したモデルを用いてクラブの性能評価を行うために,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製シャフトの有限要素モデルを構築するとともに,異なるスイングを作成し,本年度構築したモデルに適用していく. まず,本年度対象としたシャフトは,これまでに構築してきたスチール製としていた.しかし,飛距離が求められるドライバーのようなクラブでは,CFRP製シャフトが主流であること,また,設計自由度の高いCFRP製シャフトを用いた方が,スイングを取り入れてクラブを評価する上で,より有用であることから,CFRP製シャフトの有限要素モデルを構築する. また,本年度構築したモデルにおけるスイングをもとに,スイングパターンを変化させて,複数種類のスイング動作を作成する. 次に,CFRP製シャフトのクラブに対して,異なるスイング条件を適用してスイングからインパクトまでのシミュレーションを行うことにより,クラブの挙動やボールの打ち出しを求め,スイング特性がこれらに及ぼす影響を調べる.そして,これらの影響をもとに,クラブの挙動やボールの打ち出しを指標としたクラブの性能評価方法を構築することにつなげていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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