研究課題/領域番号 |
24700648
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内田 良 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (50432282)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学校安全 / スポーツ事故 / スポーツ医学 / 頭部外傷 / 熱中症 / 柔道事故 / スポーツ社会学 / 学校事故 |
研究概要 |
本研究の目的は,次の2 点である。(1)学校管理下のスポーツ事故,とくにその死亡事例と障害事例について,過去約30 年間の事例を数量的に整理したうえで,競技種目別に事故実態を解明・比較し,安全対策の要点を導出する。(2)得られた知見を日本語と英語にて,迅速にウェブサイト上に公開し,一刻も早い安全対策の検討を国内外に向けて呼びかける。これらの目的を達成するために,今年度は具体的に「スポーツ時の死亡事例に関する競技別の分類・整理」と,「情報発信のための新規ウェブサイトの構築」に重点的に取り組んだ。 前者「スポーツ時の死亡事例に関する競技別の分類・整理」では,次の2つの作業をおこなった。第一が,競技別の死亡率の算出である。中学校/高校における主要部活動の死亡率を算出すると,中学校では柔道が,高校では柔道とラグビーの死亡率が群を抜いて高いことが明らかとなった。また,熱中症だけを取り出して再度死亡率を算出したところ,柔道の値がもっとも高いことが判明した。柔道の死亡事故のほとんどは投げ技をかけられることによる頭部外傷であり,熱中症は死亡要因のごく一部である。しかしその一部の死亡要因においても柔道の値が高かった点は,特筆すべきである。 第二の作業としては,死亡事故の特徴について,部活動間でいくつかの視点から比較をおこなった。柔道・剣道・ラグビーの比較からは,学年について柔道は各学校段階における1年生の死亡割合が高く,ラグビーではむしろ高校2・3年生で事故が多いこと,公式・練習試合と通常練習について柔道や剣道とは異なりラグビーでは公式・練習試合の割合が大きいこと等が明らかになった。 後者「情報発信のための新規ウェブサイトの構築」では,ウェブサイト「学校リスク研究所」(http://www.dadala.net/)のデザイン・メニューを一新し,上記知見を含めたさまざまな研究成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」に示したとおり,今年度の作業課題は,「スポーツ時の死亡事例に関する競技別の分類・整理」と,「情報発信のための新規ウェブサイトの構築」である。 前者「スポーツ時の死亡事例に関する競技別の分類・整理」では,計画当初は,学校管理下のスポーツ死亡事故すべての事例について,競技別の精確な分類に力を注ぎ,同時に種目別に事例をPC入力することを予定していた。しかし実際には,その作業を完了させる前に,すでに精確な分類が確定した競技については,事故実態の分析に入るという方法をとった。 後者「情報発信のための新規ウェブサイトの構築」については,ウェブサイト「学校リスク研究所」(http://www.dadala.net/)のデザイン・メニューを一新し,さまざまな研究成果を掲載することができた。また,柔道事故については英文の資料を公表することができた。おおむね予定どおりである。 ⑵ウェブサイト上での知見の公開(日本語版,英語版)・・・日本語版ウェブサイトの全面改訂申請者がこれまでに分析してきたスポーツ事故の知見を,申請者が管理・運営するウェブサイト「学校リスク研究所」に公開する。ただし,現時点のウェブサイトのレイアウトでは,グラフや表の提示に難があるため,まずはレイアウトの全面改訂をおこなう必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,学校管理下のスポーツ死亡事故すべての事例について,競技別の精確な分類を継続し,一覧表を完成させる。さらにその死亡事例一覧表をもとに,各競技について,性別/学年/死因/損傷部位等の内訳を算出する。さらに,内訳を種目間で比較し,各種目に特徴的な事故状況を抽出し,事故防止の留意点を導き出す。 ウェブサイト上での知見の公開については,英語版の情報を適宜アップロードしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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