研究課題/領域番号 |
24700654
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
金 誠 札幌大学, 地域共創学群, 准教授 (40453245)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 植民地朝鮮 / 対日協力 / ナショナリズム / スポーツ |
研究実績の概要 |
26年度は昨年度審査論文としてへ提出した論文のリライト作業(史資料の再調査を含む)を年度の前半に行った。とりわけ史資料についてはこれまで確認して来なかった『朝鮮中央日報』などの調査を行った。また8月にはソウル大学中央図書館での史料調査も行い、朝鮮半島における解放後に出版された『民族正気の審判』など、本研究課題に関わる史料の確認を行った。 これまで「孫基禎」という植民地朝鮮におけるスポーツヒーローに着目しながら、彼が行った対日協力的な行為を当該期の朝鮮人民族主義者たちの価値観やナショナリズムと植民地権力との関連から考察し、こうしたアンビバレントなふたつのせめぎ合う力のなかに彼の対日協力行為を位置づけたうえで説明をしてきた。次の作業として実際に体育・スポーツに関係した朝鮮人民族主義者らに着目し、今年度後半の研究を行った。具体的な作業としては1920年~1938年まで朝鮮半島における朝鮮人のための体育・スポーツ活動を支えた「朝鮮体育会」に焦点をあて、体育会の役員名簿を年次ごとに作成し、名簿のなかの人物(民族主義者)らがどのような対日協力行為を行ったのかを『親日人名事典』を通して確認している。次年度はこの後半部の研究を学会や研究会等で発表し、成果としてまとめていきたいと考えている。 またその際には上記の史料調査で手に入れた解放後の史資料や関連する植民地期の新聞・雑誌資料の言説から民族主義者らの行為を再考し、対日協力をキーワードにした植民地朝鮮のスポーツについて明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は研究期間の前半が論文のリライトでの再調査が中心となってしまったため、研究の進行が若干ずれ込むことになった。しかし史資料の収集は昨年度から継続的に行ってきているため研究課題を遂行するための史資料は概ね整ってきた。27年度はこれまでに収集してきた史資料も活用しながら研究のまとめを行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
26年度までに進めてきた史資料収集の分析を行うとともに26年度後半に進めてきた研究成果の発表・報告を研究会や学会などで行う予定にしている。 また今年度は史資料の収集において不足しているもの、あるいは新たな史資料を海外におけるフィールドワークにより補足する予定でもある。ソウルの国立中央図書館に残る総督府図書館史料や台湾の国立台湾図書館に残る朝鮮関連史料などを確認できればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度は9月~2月の6ヶ月間にわたり、ソウル大学での留学研修を行ったため4月~8月、さらに3月の6ヶ月間で科研費を使用することとなり、すべての金額を使い切ることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度も国内外のフィールドワークや史料収集を目的とした研究調査を行っていく予定であるが、国内、韓国、さらに台湾の台湾国立図書館などでの研究調査なども積極的に行っていくことで新たな史資料の発見に努めるつもりである。
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