研究課題/領域番号 |
24700656
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
中村 和照 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 講師 (10613292)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 漸増負荷運動 / 競技パフォーマンス / 運動強度と血糖値の動態 |
研究概要 |
【目的】本研究は,漸増負荷運動中の血糖値の動態が新たな持久性運動能力の評価指標に成るかについて検討するために,1) 漸増負荷運動中の血糖値とホルモン(アドレナリン,ノルアドレナリン,グルカゴンおよびインスリン)の動態の関係性について,2) トレーニング量の違いが漸増負荷運動中の血糖値とホルモンの動態の関係に与える影響について,3) 漸増負荷運動中のホルモン応答に対する血糖値の動態と長距離走レースパフォーマンスとの関係性について,明らかにする ことを目的とする. 【研究課題I】男性長距離ランナー6名を対象に,65~95 %VO2maxの漸増負荷走を実施させ,血糖値および血中乳酸値とホルモンの動態の関係性について検討した結果,血中乳酸値は,全ての被験者でアドレナリン(0.92±0.08),ノルアドレナリン(0.96±0.07)と高い相関関係が認められた.血糖値は,血中乳酸値に比べて,アドレナリン(0.68±0.33),ノルアドレナリン(0.73±0.32)の動態との相関関係が低くなる傾向があった.6名の被験者の中でも,過去に中距離を専門にしていた者や競技歴が短い者では,アドレナリン,ノルアドレナリンの上昇に対して血糖値の上昇が小さくなる傾向が認められた. 【研究課題II】現在のトレーニング習慣が週3日未満の対照群5名と研究課題Iの長距離ランナーの血糖値と上記ホルモンの動態の関係性の違いについて検討した結果,対照群では,長距離ランナーに比べて,血糖値とアドレナリン(0.36±0.49)およびノルアドレナリン(0.27±0.57)の相関関係が低くなる傾向が認められた. 研究課題I,IIの結果から,専門的なトレーニングによって,カテコラミンの上昇に対する血糖値の上昇量が高くなる可能性が考えられる.H25年度は,研究課題IおよびIIの被験者数を増やし,研究課題IIIについても検討を行なっていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験開始にあたり,測定機材および測定方法の変更を行なったことにより,研究開始が予定よりも遅い時期となった.このため,研究課題Iの測定が予定よりも遅れている.平成25年度は研究課題IおよびIIを平行して行なうとともに,研究課題IIIについて見直しを行ない,年度内に全ての測定を終了できる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から,運動強度の上昇に対する血糖値の上昇と血中乳酸値の上昇は異なるメカニズムで起こっていることが明らかとなった.このことから,漸増負荷運動中の血糖値の動態には,血中乳酸値の動態とは異なる運動能力が反映されると考えられる.H25年度中に研究課題I~IIIの測定について終わらせ,漸増負荷運動中の血糖値の動態を評価する意義について検討を行なう.研究課題IIIについては,より妥当性の高い評価方法にするために,測定内容について再度検討を行なう.
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次年度の研究費の使用計画 |
H24年度の研究開始が遅れたため,予定していた人数の測定を行なうことが出来なかった.このため,H24年度の研究費をH25年度に繰り越して使用することになった.繰り越した研究費については,H24年度中に予定していた血液検体分析費,被験者および採血者の謝金に使用する.H25年度の研究費については,測定に必要な消耗品,血液検体分析費,被験者および採血者の謝金に使用する.血液検体については,研究費申請時に予定していなかった,グルカゴンンの測定を加えたため,旅費として申請を行なった研究費を血液検体分析費として使用する.
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