研究課題/領域番号 |
24700660
|
研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
及川 佑介 国士舘大学, その他の研究科, 助手 (80592451)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | バスケットボール / 李想白 / 大日本バスケットボール協会 / 早稲田大学 / 『指導籠球の理論と実際』 / オリンピック・ベルリン大会 / Forrest C. Allen / 『籠球研究』 |
研究概要 |
本年度は李想白が日本のバスケットボール界を組織化したことが、技術的に如何なる関係があったのかを調査・研究した。彼が急速に組織化させたのは、自らが行っていたバスケットボールの競技化を進めたことにあり、その裏には、遊戯的なバスケットボールの姿が薄れていったことがわかった。 早稲田大学バスケットボール部の創設にかかわった中山克己は、李想白が早稲田大学のバスケットボールを日本のバスケットボールに持って行ったと表現している。早稲田大学バスケットボール部・李想白の動きを追っていくと、自らが行いやすい環境を創っていった先に大日本バスケットボール協会の設立があったと考えられる。 早稲田大学バスケットボール部は浅野延秋が大正9年に立ち上げたバスケットボール同好会がもとになり、大正12年に部として認められている。李想白は同好会の時からバスケットボールにかかわっていた。浅野延秋が同好会を創るといくつかのバスケットボールの同好会が出来、大正11年5月には同好会を結集させて第2回全日本選手権大会ジュニアの部に出場した。さらに、同年、学校の体操の授業でバスケットボールが行われた。これらは、全て大正9年から大正11年までに行われ、急速に組織化されたことがわかる。そして、翌年の大正12年に同好会は部として認められると、その年に早稲田大学、立教大学、東京商科大学の学生連合を創り、翌年には全日本籠球学生連合を設立している。 昭和5年9月30日に大日本バスケットボール協会の設立総会が開かれた。出席者は李想白ら9名の発起人を含む約40名であった。しかし、総会には協会設立に反対する者が現れたことや東京近郊の大学出身者のみで日本を統括する組織を創ったことを非難する声もあったことを確認出来た。 上記については、日本体育学会(8月)と東京体育学会(3月)で発表した。そのことに関する論文を執筆中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、韓国・ソウル大学や芦屋市立図書館等での調査を行い、研究成果を日本体育学会と東京体育学会、講演等で発表し、自らのWEBサイトを作成・公表することが出来た。しかし、インタビュー調査では予定していた人物と会うことが出来なかった。 李想白が早稲田大学でバスケットボールと関わり、急速に学生連合、大日本バスケットボール協会を設立させていった。そこには、自らが行っていたバスケットボールの競技化を進めたことにあった。その裏には、遊戯的なバスケットボールの姿が薄れていったことがわかった。また、彼は技術・戦術の指導段階から指導者の類型を示していて、そこには、未来の指導者像や戦術の導入についても記されていたことがわかった。 李想白が進めた競技的なバスケットボールが遊戯的なバスケットボールの姿が薄れていったことに関する研究成果を来年度の学会で発表する準備をしている。
|
今後の研究の推進方策 |
李想白が競技的なバスケットボールを進めたことが、遊戯的なバスケットボールの姿が薄れていったことに関係していたと気づけたのは本年度の成果といえる。しかし、遊戯的という観点では、資料収集を行っていないため、現在収集した資料の整理・分析を進めることに並行させて、遊戯的なバスケットボールが昭和初期に如何に行われたのかを調査していく。 また、李想白は早稲田大学の出身者であり、その早稲田大学でのバスケットボールを大日本バスケットボール協会に移行していった動きが確認出来たことから早稲田大学のバスケットボール関係者にインタビュー調査をしたいと考えている。さらに、早稲田大学における李想白関係やバスケットボール関係の資料を調査する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、勤務先が変わったことから予定していた韓国・ソウル大学での調査と国外での学会発表に行けない可能性が出てきた。その時は、韓国・ソウル大学での調査に充てていた研究費を国内での調査・発表や新しい勤務先で研究を遂行するために不足している用品の購入に充てたい。 また、平成25年度に予定していたホームページの作成を平成24年度に行うことが出来たので、そこに充てていた研究費は、平成24年度に出来なかったインタビュー調査等に充てたいと考えている。 その他は、当初の計画通り、調査・研究を進めて行く。
|