本年度は前年度に引き続き、長野県白馬村での現地調査を中心に研究を進めた。白馬村にて宿泊業を営む外国からの移住者や、グリーン期におけるスポーツ活動の誘致事業の一つである「白馬カップ大学女子ソフトボール大会」の関係者らに聞き取り調査を行うとともに、統計データの収集および分析を実施した。 調査では、白馬村におけるポスト五輪期の外国人観光客および移住者の現況や地域として取り組んでいくべき課題について聞き取りを行った。具体的には、五輪開催による知名度が観光客誘致に役立っている一方、観光産業においてリピーターを増やしていく上での問題点があることや、外国人経営者に対する規制や制度上の不備の存在について、新たな知見を得ることができた。上記ソフトボール大会関係者からは、開催に至る経緯やそれを可能にした地域のネットワークのあり方、今後の課題について詳細な話を聞くことができた。統計データについては、白馬村に加えて五輪関連のインフラ整備の影響を受けたと思われる大町市や小谷村についても収集することができた。 最終年度の研究の成果として、一件の著作物の刊行(「オリンピック・パラリンピックの“遺産”を考える」、『保健体育ジャーナル』102号、1-5頁掲載)、および二件の学会発表(“The Impacts of the Olympics on Local Community: A Case Study of the Nagano 1998 Winter Games”、「Bodies and Knowledge 2014」(於:University of Toronto)、“The Nagano Olympics: Impacts on Local Community”、「World Congress of Sociology」(於:パシフィコ横浜(日本))、共に口頭発表)をそれぞれ実施することができた。
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