研究課題/領域番号 |
24700665
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前川 剛輝 東京大学, 新領域創成科学研究科, 附属施設協力研究員 (50336351)
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キーワード | 高所トレーニング / 低酸素トレーニング / 赤血球 / モノカルボン酸トランスポーター |
研究概要 |
本研究では、高地・低酸素トレーニングによる「増血を伴わない運動パフォーマンス改善」に関する血液学的背景を明らかにすることを目的とした。高地・低酸素トレーニングによって血液のpH調節に関わる赤血球膜タンパク(モノカルボン酸トランスポーター,赤血球陰イオン交換タンパク質など)が、どのような影響を受けるのかを検討し、それら変化が運動パフォーマンスに与える影響を検討した。 鍛練された競技者(20名)を対象に自然の高地環境を利用した高地トレーニングを行わせ、その前後で血液学的検討と運動パフォーマンスの検討を行った。トレーニングの方法は、標高1,400~2,400mの自然の高地を利用して17日間の高地滞在型の高地トレーニングを行った。 高地トレーニングの前後で運動パフォーマンスを検証した結果、運動持続時間は有意に延長した(トレ前:19.4±3.5min、トレ後:20.7±3.7min、p<0.001)。一方、最大酸素摂取量は有意な変化を示さなかった(トレ前:57.0±5.7ml/kg/min、トレ後:58.8±6.0ml/kg/min)。酸素運搬応力の指標でもあるヘモグロビン濃度もトレーニング前後で有意な変化は示さなかった(トレ前:14.7±1.3g/dL、トレ後:14.5±1.3g/dL)。血液のpH調節に関わる赤血球膜タンパクの定量を試みたが検出が上手くいかず、検証はできなかった。 造血を伴わない運動パフォーマンスの改善は認められたが、赤血球膜タンパクの定量が失敗に終わり、それらの関連性を検証するには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
赤血球膜タンパクの分析には免疫学的手法を用いるが、安定的に検出できる分析システムの構築が未だ完成に至らず、現在も赤血球膜タンパクを定量する目処がたっていない(当初の予定では平成24年度中に完成)。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は再度トレーニング実験を行い、赤血球膜タンパクが運動パフォーマンスに与える影響を検討する。なお、代替となる検証方法も視野に入れて実施する。また、完成に至らなかった赤血球膜タンパクの分析システムの構築は引き続き行う予定である。トレーニング実験の遂行と併せて投稿論文の作成および研究発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はトレーニング実験を2回実施する計画であったが、血液サンプルの分析を行うシステムの構築が遅れた為、1回のみの実施となった。再度トレーニング実験を行う為、次年度使用額が生じる事となった。 研究費はトレーニング実験の消耗品及び被験者への謝金・交通費(70万円程度)、論文投稿・掲載料及び学会への参加費・旅費(40万程度)に使用する。
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