平成25年度は、前年度に引き続きMRIを用いた下肢横断画像の取得について、陸上短距離選手の数を増やすとともに、下肢12筋の筋体積の測定、および大腿部および下腿部のセグメント特性(質量、質量中心位置、慣性モーメント、回転半径)の測定を行った。これらの指標と100-m走タイムとの関係を調べ、100m走パフォーマンスと個々の下肢筋のサイズ、およびセグメント特性との関連について検討を行った。また、スクワットトレーニング動作を対象として、拳上条件(速度および重量)の違いが下肢筋群の活動に及ぼす影響を明らかにする実験の結果をまとめた。以上の研究成果について、学会発表(1件)および論文作成(投稿中2本)を行った。 本研究課題は、臀部筋を含めた下肢筋群のサイズがスプリント走パフォーマンスに及ぼす影響を検討すること、およびスプリント走において鍵となる筋群をトレーニングするための方法を検討することを目的とした。研究全体を通じて、下肢筋群のうち大臀筋およびハムストリングのサイズにおける個人差がスプリントパフォーマンスの個人差の1要因であることが示された。また似たような関節動作によって実施されるトレーニング種目においても、実施(拳上)条件の違いによって協働筋の動員が異なることが明らかとなった。本研究で対象としたスクワット動作に関しては、高速・低負荷で行うことで、スプリント走の鍵となる大臀筋の動員度を高めることができることが示唆された。なお、本研究内で行った予備的な調査においては疾走パフォーマンスと筋サイズの関係において、疾走距離の影響は明らかにされなかった。引き続き検討が必要と考えられる。
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