本研究の目的は,体育授業において利用可能な背面跳びの初心者を対象とした指導プログラムを確立することにあった。平成27年度には,これまでに取り組んできた研究の成果をとりまとめ,国際会議における成果発表を行った。 本研究で作成された背面跳びの学習指導プログラムを用いて大学生を対象として走り高跳びの授業を実施しその学習成果を検討したところ,学習者の約80%が初心者段階としては問題の見られない背面跳びの粗形態を習得することができたことが明らかにされた。この結果から,本研究で作成された背面跳びの学習指導プログラムには従来の学習指導プログラム以上の効果を確認することができた。これに対して,学習者の約20%は,安全に試技を終えてはいるものの,達成記録の向上という視点から見て問題のある動きを示した。これらの問題動作の発生過程に検討を加えたところ,問題動作の発生要因は学習過程における「誤った動きの反復」もしくは「試行錯誤の経験不足」に求められた。背面跳びの学習指導プログラムに関するこれまでの研究においては,背面跳びの習得に失敗するケースが認められることは報告されているものの,その原因について検討を加えたものはほとんど見られない。したがって,今後は,本研究で確立された学習指導プログラムに,こうした問題動作の発生を抑制するための修正を加える必要がある。
|