研究課題/領域番号 |
24700673
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
野口 雄慶 福井工業大学, 工学部, 講師 (50610581)
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キーワード | 超音波画像診断 / 腹部筋厚 / 筋力 / 運動パフォーマンス / 姿勢 |
研究概要 |
本研究では、腹筋群の形態的特性と機能的特性(筋力、姿勢の安定性、運動時のパフォーマンス)の関係を明らかすることを目的としている。 本年度は、昨年度まとめた腹筋群の測定方法(検討課題I)を利用し、運動パフォーマンスと腹筋群の形態的特性の関係(検討課題IV)を明らかにするために、走・跳・投パフォーマンスと腹部筋厚との関係を検討した。健常な青年男子13名(年齢:18.8±0.7歳、身長:166.1±5.6㎏、体重:61.1±6.5㎏)を対象に50m走、幅跳び、およびハンドボール投げテストの測定および腹部超音波画像診断装置(GT-101、TANITA社製)を用いて、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の筋厚を計測し、両者の関係を検討した結果、腹直筋厚と50m走および立幅跳びテスト間に、内腹斜筋厚と50m走、立幅跳び、およびハンドボール投げテスト間に中程度の有意な相関が認められた(|r| = 0.57-0.68)。このことから、体幹の屈曲や捻転など、動作に直接関与する筋だけでなく、50m走と腹直筋、内腹斜筋のように、動作に直接関係なくとも、体幹を安定させるために必要な筋についても運動パフォーマンスと関係があり、腹筋群の強化の際には、それらの筋を意識したプログラムが有効であることが示唆された。 今回の結果を踏まえ、今後は体幹トレーニング前後での腹筋群の形態的特性や機能的特性の変化等を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた課題I~IVのうち、初年度に課題I(腹部筋力と筋厚との関係)については、既に学会発表や論文として公表していたが、2年目となる今年度は、検討課題II、IIIについて、実験を進めている。一部、実験手順等で見直しが必要な部分が生じているが、有識者と相談しながら手順の修正を行っており、大筋の目的が達成できるように留意している。同時に、II、IIIの計画見直しが計画全体の進行に影響を来たさないように、課題IVについては、計画を早めて着手しており、予定より早く研究成果を原著論文として国外雑誌等に発表することが出来た。 実験データの収集等について、学外の研究協力者とも連携を取って、次年度以降の測定計画も進められるよう協議を開始しており、最終年度で成果をまとめ報告できるよう、計画的に課題を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を迎える3年目の研究では、残された課題II、III、つまり腹筋群の解剖学的、機能学的特性と姿勢制御との関係について検討を進めていく。 26年度開始時には、課題の進行状況について有識者と相談し、進行状況に大幅な遅れが生じないように努めるとともに、25年度までに発覚している、姿勢評価の方法の基準作成や姿勢制御(バランステスト)の測定法の見直しなどの問題点について改善案を検討し、課題全体の目標遂行に重大な問題を来たさぬよう留意する。これらの問題の改善が行われたのち、以下の課題へ取り組む。 検討課題II:腹筋群の筋厚および筋力と姿勢(脊柱彎曲、骨盤傾斜)との対応関係【内容】姿勢評価システムを用いて姿勢が正常な群と非正常な群に分類し、両群間で腹筋群の特性を比較する。 検討課題III:姿勢の安定性維持(体幹固定性)と腹筋群の筋厚・筋力測定値との関係【内容】腹筋群の筋厚及び筋力と姿勢の安定性維持の関係性について検討する。更に、疲労状態との関係についても明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の支出額そのものは当初の計画通りの金額であったが、初年度の繰越金が本年度に上乗せされていた分が次年度へと繰り越された。 次年度使用額については、現在進行中の研究課題II、IIIの測定に関する消耗品の購入、測定先への旅費、および研究成果報告(学会発表、論文投稿料など)を中心として使用する予定である。
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