テニスコートの違いによる競技用車椅子の摩擦影響

2012 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 24700674
• 研究種目: 若手研究(B)
• 研究機関: 東海学園大学
• 研究代表者: 安藤 佳代子 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 助手 (90618795)
• 研究期間 (年度): 2012-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: 車いすテニス

研究概要

本研究は、異なるサーフェイスにおいて、タイヤの違いがどの程度車いす駆動に影響するのか調査し測定した摩擦係数から適切なタイヤの選択と最適なサーフェイスを明らかにする。そして、実際の動きへの活用を検討することを目的とした。
24年度では、ロンドンパラリンピック実施年でもあり、各国選手の車椅子形状の調査を行った。競技用車椅子のシート高やキャンバー角は、障害によって様々であった。また各国によって使用車いすメーカー、タイヤは異なっていた。また、体を車椅子に固定し、上半身の動きや体重移動によってターンが行いやすいように作られていた。特にヨーロッパの国々は、シートをソケット式で作られている傾向があった。
各国の車椅子形状を踏まえて、国内選手の傾向と合わせ実験に使用する競技用車いすの選定を行った。車いすテニスにおいて国内シェアトップである車椅子メーカー、OX社に依頼し実験用車椅子を購入した。タイヤの大きさ、車いすシート高、キャンバー角は日本人使用者の平均的な基準に近づけた。
研究報告としては、8月に本研究での基礎研究として昨年度まで調査を行っていた車いす駆動の内容について学会発表を行った。またパラリンピックでの調査結果については12月に行われた日本車いすテニス協会コーチ講習会にて、車椅子形状の講習とともに報告を行った。
本実験に使用する装置に関しては、水口らの簡易計測方法を参考にし、よりよい測定装置を現在調査・検討中である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

車いす調査に関してはおおむね順調に進んでいる。
しかし、実験に使用する装置に関しては水口らの簡易計測方法を参考にし、より正確に測定できる装置を現在調査・検討中である。予定だと昨年度中に実験装置を製作し、予備実験ができるように計画していた。しかし、簡易計測方法ではなく詳細なデータ収集ができないか調査を進めている状況であるため、予定よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

簡易計測方法ではなく詳細なデータ収集ができないか調査を進めて、測定装置を製作する。その測定装置を使用しサーフェイスの違いで生じるタイヤの転がり摩擦係数を算出する。製作した測定装置を利用し、測定を行う。サーフェイスは、オムニコート、ハードコート、クレーコートの3種類とする。競技用車椅子には、前輪、後輪、リアキャスターがある。リアキャスターは地面設置を調整できることから、完全に地面に接地している状態と接地距離を変えた場合の違いも算出する。
分析は，画像分析ソフト（Frame-DIASIV）にて車いす速度，加速度，停止位置を決定する。車いすのみの摩擦係数を計算し、サーフェイスの違いで生じるタイヤの摩擦係数を算出する。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額（B-A)は145円、次年度請求研究費と合わせると1,690,145円となる。間接経費額は390,000円。直接経費額は、1,300,145円となる。
次年度の研究費（直接経費）使用計画は、物品費は1130,145円。人件費・謝金として90,000円。旅費として80,000円としている。物品費の内、設備備品として画像分析ソフト（Frame-DIASIV）を730,000円で購入し分析を進める予定である。物品費の内、消耗品費として400,145円は、実験に必要な測定装置とタイヤの購入を行う。人件費は、実験・研究補助として、旅費は国内学会参加旅費として計画をしている。

研究成果

• [学会発表] Relationship between Physical Fitness Test Scores and Match Performance in Wheelchair Tennis Athletes (2012)
  • 著者名/発表者名: Kayoko Ando
  • 学会等名: The 12th Asian Society of Adapted Physical Education and Exercise Symposium
  • 発表場所: HKIEd Hong Kong , China
  • 年月日: 20120809-20120812