本研究は、近現代日本における天皇制とスポーツとの関係の解明を目的とし、天皇制とスポーツとの関わりに関する分析を通して、日本社会における社会的特質と国民意識を明らかにした。本研究を通して、戦前スポーツイベントが天皇制と国家的な秩序への同意を強化し、国家との一体感を推し進める装置として巧妙に機能していったことが明らかになった。また、戦時下における相撲は皇室・皇族と深く関わりながら、国体・日本精神や精神修養としばしば結びつけられて位置づけてられていた。戦後にも「象徴天皇制の公認と浸透」を増幅させる装置として、スポーツイベントが重大な意味をもたらしてきたことも、本研究を通して明らかになった。
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