本研究の目的は,競技者が競技成績の停滞・低下によって無力感状態に陥る現象に焦点を当て,無力感状態が生起する要因を明らかにし,競技者に対する有効な介入方法を検討することであった。まず,競泳選手の練習場面におけるセルフ・エフィカシー尺度を作成しセルフ・エフィカシーと関連のある帰属スタイルを明らかにした。次に,無力感状態から回復した経験のある選手へのインタビューから,パフォーマンスの向上を実感した直後に無力感に陥りやすいことが示唆された。また,パフォーマンスが停滞している状況にあっても,指導者や周囲から期待され認められているという実感は,練習の継続や試合への出場に繋がる重要な要因となっていた。
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