研究課題/領域番号 |
24700682
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
崎田 嘉寛 広島国際大学, 工学部, 講師 (60390275)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 学校視察 / 武道 / 教練 |
研究概要 |
本研究は、1940年代の日本の公立小学校における学校体育がどのように展開したのかを実証的に明らかにしようとするものある。 本年度は、まず、1940年代の学校体育実践を対象とした先行研究の収集と整理・分類を行なった。具体的には、考察方法を基準 (思想、カリキュラム、学習内容、指導法、その他) に分類した。そして、1940年代の学校体育実践の分析視点を焦点化し、第一次資料の収集に目処を立てた。 次に、1940年代後半(占領初期)において地方軍政部が実施した学校視察の状況を把握するための第一次資料の収集を行なった。具体的には、GHQ/SCAP(CAS、CIE)文書を中心に収集を行なった。加えて、占領初期の学校視察の政策立案過程、学校視察の実施過程と実態、都道府県別の学校視察の状況、学校種別の視察状況、公立小学校における学校視察の受け入れ状況を整理し把握した。 最後に、地方軍政部が実施した学校体育(保健分野を含む)に関する実態調査の分析を、CIEが月毎の学校視察報告書を集計して処理・作成した文書綴り(国立国会図書館憲政資料室所蔵)を用いて行なった。その結果、敗戦直後から文部省やGHQ/SCAPによって厳しく禁止されていたはずの「武道」や「教練」が、1947年7月まで、初等教育段階においてわずかではあるが継続的に実施されていたことを資料的に確認した。すなわち、戦時下から戦後にかけての学校体育において、武道や教練といった断絶しなければならなかった教科内容が、部分的にではあるが継続的に実施されていたことを実証した。このことは戦後初期の学校体育に関する歴史的把握の新たな側面を提示するものとして重要であるが、さらに実証内容は日本側資料によって補完・精査されるべきである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題は、戦時下から戦後にかけての学校体育に関して、(1)断絶しなければならなかったものが継続した事象、(2)明らかに一貫する事象と断絶する事象、を実証的に解明することである。加えて、(1)および(2)を複眼的に考察することで、1940年代の公立小学校の学校体育を重層的に描きだすことである。 本年度までに、いくつかの課題は残っているものの、上記(1)の重要な部分の解明を達成できた。また、必要な資料収集も当初計画通りに円滑に進展している。このため、おおむね順調に研究が進展していると裁定した。
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今後の研究の推進方策 |
三年間を予定している本研究は、おおむね順調に進展しており、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での重要な課題は生じていない。二年目となる平成25年度の研究計画に関しても、当初の計画通りに進める予定である。 すなわち、(1)戦後に先駆的な学校体育を実践していた公立小学校を特定する、(2)特定した小学校を対象として、戦時下と戦後における学校体育に関する一次資料を発掘・収集する。(3)収集した資料に基づいて、戦時下と戦後の学校体育を比較し考察する。ここでの考察視点は、戦時下と戦後で明らかに一貫する事象と断絶する事象がどのようなものであったか、である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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