研究課題/領域番号 |
24700684
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研究機関 | 日本文理大学 |
研究代表者 |
武村 泰範 日本文理大学, 工学部, 准教授 (10581580)
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キーワード | スポーツ科学 / 自己組織化マップ / クラスタリング / スポーツ心理 |
研究概要 |
スポーツの団体競技において個々のポジションや役割の適性がチームの状態に影響を与えている事は,明らかであり身体的な特徴や心理的な特徴といった見地から非常に多くの研究がなされている.しかし,双方を考慮した団体競技におけるチーム内での個人の役割や関係性を示す研究は,非常に稀であり,身体的特徴と心理的特徴に関する関連性は未だに明らかではない. 本研究では,身体的特徴量及び心理的特徴量の双方を考慮した団体スポーツにおける個々の役割適性を判断し,チームの関係性を示すクラスタリング器の開発を目標とする.そこで,本研究では申請者がロボティクス分野において,環境推定などに用いた自己組織化マップ(Self Organazing Maps)を用いて,双方の特徴量を用いたクラスタリング器の開発を目指す. 最終年度では,引き続き特徴量データの収集及び自己組織化マップを用いた解析を行い,このアルゴリズムの妥当性に関して研究を行う.現在までに様々なクラスタリング手法が確立されており,他の確立された手法と比較検討し,その妥当性を確かめる.本研究における自己組織化マップは、多次元空間の特徴量をトポロジー空間を保存したまま,自己組織的に2次元でマップ化する事が特徴である.そこで,他の多次元の情報量をクラスタリングできるアルゴリズムと比較検討を行い,本アルゴリズムの利点や欠点を検討する.この結果を踏まえ,今回はラグビー競技を中心にアルゴリズムの整理を行ったが,他の競技内容に関して,同様の実験を行う事が可能かどうかを他の団体競技に本研究のアルゴリズムを採用し,検討を行う. また,このような身体的な特徴量や心理的な特徴量を踏まえたチームの関係性や役割の適性を決定する手段がロボティクス分野(群ロボットの役割適性など)に応用する事が出来ないかを検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,団体スポーツにおけるチーム内の関係性や役割の適性を示すクラスタリング器の開発である.平成24年度は,データの解析として,身体的な特徴量及び心理的な特徴量を統計的な解析手法を用いて,特徴について調査した. 平成25年度は,24年度に得られた結果をもとに,自己組織化マップを用いて多次元特徴量をクラスタリングするソフトウェアの開発を行った.自己組織化マップでは,身体的な特徴量を正規化したデータを多次元特徴量として,従来利用されているクラスタリング手法である主成分分析のアルゴリズムと比較し,どのような効果があるかを検証した。また、心理的な特徴量に関しては,DIPCA.3という競技者の心理的特徴を評価する手法にと同様のテストを多次元データとして利用した場合,同等の結果が出るのか等を検証した.結果,身体的な特徴量としては,ポジションによるデータの集まりが見られ,多次元のベクトルを解析するとある程度のポジションに傾向があり,コーチ陣等は,身体的な特徴量をもとにグループの解析が行われている事がわかった.しかし,心理的な特徴量は,DIPCA.3と同様にポジションによる適性は、ないがレギュラーと非レギュラーの区別が出来る事がわかった.つまり、レギュラーになる為には,心理的な成熟が求められており,ポジションの適性には,身体的な特性が関わっている事がわかった.また、本研究で提案している手法では,身体的特徴量及び心理的特徴量の双方で解析が可能である事が証明された.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,引き続き特徴量データの収集及び自己組織化マップを用いた解析を行う.選手の特徴量時々刻々と変化するため,更新する事でチーム内の関係性がどのように変化するかを3年間の遷移を解析して,チーム内の傾向を探る.また、この特徴マップを用いる事で,チーム全体における個々の関係性を把握し,監督やコーチ等の経験則からは発見できなかった新たな役割の可能性を見出す事を検討する. 次に,このアルゴリズムの妥当性に関して研究を行う.現在までに様々なクラスタリング手法が確立されており,他の確立された手法と比較検討し,その妥当性を確かめる.本研究における自己組織化マップは、多次元空間の特徴量をトポロジー空間を保存したまま,自己組織的に2次元でマップ化する事が特徴である.そこで,他の多次元の情報量をクラスタリングできるアルゴリズムと比較検討を行い,本アルゴリズムの利点や欠点を検討する.この時に評価項目として,結果をクラスタリングする際に学習にかかった時間や未知データに対する写像がどのような傾向であらわれるかを検討する.この結果を踏まえ,今回はラグビー競技を中心にアルゴリズムの整理を行ったが,他の競技内容に関して,同様の実験を行う事が可能かどうかを他の団体競技に本研究のアルゴリズムを採用し,検討を行う. また,このような身体的特徴量や心理的特徴量を踏まえたチームの関係性や役割の適性を決定する手段がロボティクス分野(群ロボットの役割適性など)に応用する事が出来ないかを検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は,実験による備品の調達が予想以上に少なく、旅費に関しても国際学会の参加が非常に近い場所であったため当初の予定金額を下回った.学会への出張等は予定通りに進めているため,当初の計画通りに計画は進んでいるため問題ないと考えている. 来年度は,国際学会(IEEE WAC2014: アメリカ,ハワイ)やロボットへの適応例の調査などに旅費が必要と考えている.また、解析用のパソコンの購入等を検討しており,当該年度での余剰分を使用する予定がある.
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