研究課題
本研究では競技自転車におけるサドル位置の高さ設定について,上級者のサドル高さに対する主観的な評価とペダリング運動中の下肢筋群の活動状態の関連性について調査を行った.まず,実験装置として,市販の自転車ロードレーサーのサドル部およびハンドル部に,高さ,前後位置,角度を自動制御できる機構をそれぞれ取り付けた.また,ペダリング運動中の表面筋電位計測と同時にサドルとハンドルの位置を動的に制御可能とした.実験では,競技歴14年以上かつ十分な競技成績のある健常男性を被験者とした.ペダリング運動中の大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋について表面筋電位を計測し,二乗平均平方根処理を施すことでペダル一回転に必要な筋活動量を推定し,ペダリング評価値とした.被験者が主観的に好ましいとするサドル高さを基準に,15mm上方から3mm/minで下降させた.実験終了後に,全てのペダリング評価値を対象に主成分分析を施し,各サドル高さ毎の主成分得点平均を算出した.結果として,被験者が主観的に好ましいとするサドル高さでは,主成分得点平均がゼロ近傍に偏り,このことは測定筋群間の活動量が相対的に均等であることがわかった.しかしながら,この実験手法は,自転車初心者に対しては適用が難しいことがわかった.本研究では,上級者と初心者の違いをペダリング技術の優劣と仮定し,今後,ペダリング技術を向上させる観点から最適なサドル位置の設定手法について検討する予定である.
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Journal of Biomechanical Science and Engineering
巻: Vol.8, No.1 ページ: 94-103