ボールリリース直前において背屈方向の筋トルクが発現していた。つまり、手関節回りの筋トルクは,手セグメントのエネルギーの生成にほとんど寄与しておらず、むしろ手セグメントのエネルギーを吸収していた。このことから、手関節回りの筋トルクは、ボール速度増大へ貢献していないことが明らかになった。一方で、手セグメントのエネルギー増大には、内力の伝達による貢献が大きく、投球腕の近位の運動が重要であることが明らかになった。また、この背屈方向の筋トルクが最大になる時刻と、ボールに作用する合モーメントが最大になる時刻がほぼ一致しており、手関節回りの筋トルクがボールに回転を与える役割を担っている可能性が示唆された。
|