本研究では反応時間と脳波(事象関連脳電位)を用い,スポーツ競技者の視空間知覚-認知処理機構について検討した.その結果,①スポーツ競技者は非競技者に比べ,視空間知覚‐認知課題のパフォーマンスに優れており,特に視空間認知処理に関わる神経活動が異なること,②オープンスキル競技者とクローズドスキル競技者では,特に反応抑制に関わる神経活動で差異が認められることが明らかとなった。本研究の成果は,長期間の身体運動がヒトの脳機能にポジティブな効果をもたらすことを裏付けるとともに,スポーツ競技者間においても,その競技種目の特性によって視空間知覚‐認知処理機構への影響が異なることを示唆するものである.
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