研究課題
若手研究(B)
感染は、酸化傷害を静態に及ぼすが、その1つに生体物質へのニトロ化ストレスが知られている。身体運動による体力の増加は、感染症予防および感染症による臓器障害の軽減に有効であるとされているが、そのメカニズムは明らかではない。本研究では、我々が独自に開発した抗ニトロ化タンパク質抗体を用い、プロテオーム解析や生化学的手法により、運動群と非運動群とで感染に伴うニトロ化タンパク質の消長がどのように変化するか検討する。これらの結果、運動が感染時に酸化傷害を防ぐ仕組みを解明する。本研究においては、感染モデルとして、当初、ラットにLPSを投与するという計画にしていたが、マウスへの投与に変更し、実験を進めることとした。感染防御のための運動の効果について調べる前段階として、基礎的なデータを得ることとした。今年度は、臓器中タンパク質ニトロ化の運動による変化を見るために、回転ケージにおけるマウスの自発運動実験をスタートした。今回は、ラットの系において実績が得られている、肝臓について注目し、対照群、運動群共にマウスより肝臓を摘出し、液体窒素で凍結後、-80oCに保存した。平成25年度には、タンパク質抽出後、プロテオームを中心とした生化学的解析を行う。併せて、LPS投与による弱毒性モデルの作成とその生化学的解析を行い、マウスの運動モデルとマウスのLPS弱毒投与モデルの両者における、基礎データを得ることが出来る。
3: やや遅れている
当初、ラットモデルでの実験系を実行する予定であったが、回転ケージの稼働率などの関係上、現在、別の研究者が行っているマウスの系に変更し、一部サンプルを共有するなどの措置をとった。弱毒性モデルの作成と生化学的解析は、平成25年度に行う予定である。今年度は、所属先の異動なども伴い、計画通りとは行かなかったが、次の段階への準備は整ったと考えている。
次年度は、モデルマウスについて、運動群の生化学的解析、LPS投与マウスの作成と生化学的解析を行っていく。研究体制については、若干の研究協力者の変更があるものの、マウス運動、解剖実験、プロテオームに関して、新しい所属へ移った後でも、平成24年度に引き続いて協力体制を継続できている。マウス運動 ~関根紀子(順天堂大学助教)解剖実験 ~古川覚(東洋大学准教授)、小林淳(日本獣医生命科学大学助教)プロテオーム解析 ~川崎広明(順天堂大学PD)、松本綾子(順天堂大学技術員)
新所属先の北陸大学においては、等電点電気泳動に関する装置を購入する必要がある。今までは、共同利用機器としての使用をしていたが、新所属先において、装置がないためである。また、プロテオーム解析での電気泳動ゲルからのタンパク質抽出操作について、遠心濃縮器を購入する必要がある。これは、ホコリが入らないような特別な箱を作成して、その中で行う必要があるため、独自に購入する必要がある。その他、動物関連実験、生化学実験関連等の消耗品、学会参加費などに使用予定である。新規購入予定機器~等電点電気泳動装置一式(約40万円)~遠心濃縮器(約20万円)
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