研究課題/領域番号 |
24700704
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
池田 啓一 北陸大学, 薬学部, 講師 (90453597)
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キーワード | ニトロ化ストレス / スポーツ生化学 |
研究概要 |
感染によって酸化傷害が生体に起こるが、その1つに生体物質へのニトロ化ストレスが知られている。身体活動による体力の増強は、感染症予防および感染症による臓器障害の軽減に有効であるとされているが、そのメカニズムは明らかではない。本研究では、我々が独自に開発した抗ニトロ化タンパク質抗体を用い、プロテオーム解析や生化学手法により、運動群と非運動群とで感染に伴うニトロ化タンパク質の消長がどのように変化するか検討する。これらの結果、運動が感染時に酸化傷害を防ぐ仕組みを解明する。 ・感染に伴うニトロ化とタンパク質機能の相関を調べるための基礎として、モデルタンパク質としてリゾチームを用いたタンパク質ニトロ化を行い、構造ー機能相関について、標的トリプトファン残基の保護を狙い阻害剤との複合体形成後に、ペルオキシナイトライト(ONOO-)によるニトロ化を行った。保護後にニトロ化を行ったリゾチームでは、ONOO-により起こる活性低下が阻害されたことから、リゾチームのTrp残基ニトロ化がタンパク質機能の低下につながることが明らかになった。現在、LC-MS/MSでの解析を進めている。 ・マウスにおける自発的運動に伴う、代謝指標について調べたところ、週齢を経たための差は見られたものの、運動の有無による差異は今のところ見られていない。その詳細や生化学的解析は、現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
<テーマ1>感染によるニトロ化傷害後のニトロ化タンパク質消失機構の解明 <テーマ2>運動によるプレコンディショニングが感染による臓器のニトロ化傷害とその消失へ与える影響 を計画しているが、現在は、運動による基本的な変化を知るために、テーマ2を中心に進めており、マウスの運動による代謝等の基礎的な解析までは進めた。現在は、ウェスタンブロットによるニトロ化タンパク質の解析を行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力体制は、現在も継続しており、今後も継続する。全体の計画としては遅れているが、今後、現在進行中の運動群マウスの解析から進め、その後、感染モデル系へとつなげる。ある程度の解析が出来た段階で、年度内には運動後の感染モデルへスタートできる体制を作る。生化学的解析の手法としては、以下の通りである。各種条件での臓器内タンパク質ニトロ化の詳細な解析を進め、特定残基のアミノ酸の位置との関連について、LC-MS/MSの結果と文献との照合から、機能変化を予測する。併せて、NO発生系、活性酸素発生系/消去系、炎症性サイトカインの発現量変化についても調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
所属変更に伴い計画変更などあったが、本研究に必要な試薬・少額の機器等をある程度まで揃え使用することが出来た。余った額は誤差の範疇である。 ほぼ額面通りの利用状況であるため、今後の研究計画に従い、研究試薬等に使用する。
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