ストレッチングが伸長部位の血液循環,血管拡張能,および動脈伸展性に及ぼす急性効果を検討するとともに,一過性のストレッチングが糖負荷後の血糖値を降下させるかどうか検討した.その結果,反復回数が少ないストレッチング条件でも伸長部位の筋酸素飽和度が上昇し,血液循環が亢進することが示された.ストレッチングによって伸長部位の血管拡張能の向上が認められた一方,動脈伸展性(脈波伝播速度)は増大しなかった.また,糖負荷後にストレッチングを行うことで血糖値が降下を示し,さらに,食後高血糖が是正される症例が認められ,ストレッチングが高血糖に伴う動脈硬化症の発症予防に有効な運動療法になり得るものと考えられた.
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