研究課題/領域番号 |
24700717
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山田 孝禎 福井大学, 教育地域科学部, 講師 (60413770)
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キーワード | 栄養学 |
研究概要 |
運動開始直後あるいは高強度の運動時に骨格筋において産生されるアンモニアは、ピルビン酸や乳酸蓄積のトリガーとなり、自覚的運動強度(運動のつらさ)を増大させる。アンモニアの蓄積を抑制できれば、運動のつらさも軽減できるかもしれない。 アンモニアは主に肝細胞内のミトコンドリア(Mit)における尿素回路にて代謝される。尿素回路は複数のアミノ酸から構成されるが、Mit外にそれらが抱負に存在すると、受動的にMit内に取込れ、反応速度が高まるといわれている。しかし、受動的な取込については明らかにされていない点が多い。 本研究の平成25年度における実施計画は、平成24年度からの2年間での研究内容ならびにその目的に含まれる。つまり、平成24年度からの2ヵ年において、研究遂行可能な研究環境や規定の整備等々を行った後、ラット各組織におけるミトコンドリアオルニチントランスポーター(ORNT1)の発現量と尿素回路構成アミノ酸摂取に伴う各組織へのアミノ酸受動的取り込み量との関係を検討することを目的とした。 具体的には、広範な文献研究を実施し、機器の使用方法や分析手順を確認し、本研究の実験手順に即して複数回の予備実験を行った。予備実験結果に基づき、ラット各組織を摘出し、各組織におけるORNT1発現量を定量化し、各組織間のORNT1発現量の違いを明らかにした。一方、Mit外に豊富に尿素回路構成アミノ酸が存在する場合、Mit内に受動的にアミノ酸が取り込まれ、取り込まれた量がORNT1発現量と関係が認められるか否かについても検討した。しかし、前述に一定の関係は認められなかった。これまでのHHH症候群の症状緩和に利用される尿素回路構成アミノ酸投与の効果を考慮すると、受動的な取り込みは観察される可能性が高い。平成25年度において検討したアプローチとは異なる方法で上記について追求し、平成26年度の研究計画に繋げたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、平成24年度からの2ヵ年で、各組織におけるORNT1の発現量を定量化し、尿素回路を構成するアミノ酸の摂取に伴う、各組織へのアミノ酸受動的取込量と、ORNT1の発現量との関係を検討する計画であった。研究実績の概要においても示したとおり、広範な文献研究に基づく本研究の実験手順に即して複数回の予備実験を行い、予備実験結果に基づき、各組織におけるORNT1発現量を定量化し、各組織間のORNT1発現量の違いを明らかにした。また、Mit外に豊富に尿素回路構成アミノ酸が存在した場合のMit内への受動的なアミノ酸取り込みについても検討した。以上から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
Mit外の豊富な尿素回路構成アミノ酸のMit内への受動的取り込みにより、尿素回路の反応速度が促進されれば、アンモニア代謝の亢進が期待できる。平成26年度の研究実施計画では、尿素回路構成アミノ酸の受動的取り込みにより、アンモニア代謝促進が認められるか否かを検討する。しかし、現段階では受動的取り込みについて肯定的な結果が得られていない。研究実績の概要においても示したように、異なるアプローチによる受動的取り込みの検証が必要であり、これらも含めた研究計画を平成26年度において遂行していく。
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