本研究では、適度な強度の有酸素運動がヒトの運動抑制機能にどのような影響を及ぼすのか検討した。実験では、ヒトの運動抑制過程を観察する上で最適な方法の一つであるgo/no-go課題を用いて脳波の測定を行った。その結果、適度な強度で有酸素運動を行った後にはno-go-N140成分の振幅が運動前と比較して増大することが分かった。No-go-N140成分は、中枢機能の持つ運動抑制過程の指標の一つであり、この振幅が増大したことは、適度な強度の有酸素運動を行うとヒトの運動抑制機能は強く働くようになることを示唆するものである。
|