研究課題/領域番号 |
24700722
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
友川 幸 信州大学, 教育学部, 助教 (30551733)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ライフスタイル / 精神的健康 / 身体的健康 / 開発途上国 / アセスメント / 学校保健 |
研究概要 |
本研究は、1年目に開発途上国の教育研究機関と共同し、①子どもたちの精神的・身体的健康度・ライフスタイル、ソーシャルサポートの現状を簡易に測定するツールを開発し、②経年変化をアセスメントするシステムを構築することを目的とした。具体的には、まず、ラオス国立大学教育学部内に共同研究のための研究チームを設置した。次に、1)先進国で中、高校生(以下、子ども)の精神的・身体的健康度、ライフスタイル、ソーシャルサポートの実態や相互の関連がどのように評価されてきたかを整理した。さらに、2)ラオス版の子どもの①精神的健康度、②身体的健康度、③ライフスタイルの質問紙を開発した。そして、3)ラオスの都市部および地方で調査を実施し、①-③の相互の関連、開発途上国での応用可能性を検討した。ラオスの都市部の調査では、ラオス国立大学附属の中高校生(約2500名)からデータを収集し、統計的分析により再現性および妥当性を評価した。さらに、開発したツールを用いて、ラオスの首都部とその近郊の中高生、南部の教員養成校の学生(約2000名)と、その附属の中高校生(約1000名)からデータを収集した。都市部での調査の結果から、子どもたちの多くが、学校に出席しているものの、精神的、身体的な症状を訴えていることが明らかになり、日常的な健康状態の不良が学校への欠席の有無にも影響を及ぼしていることが明らかになった。また、欠席に及ぼす要因は、不定愁訴の訴えの多さ,不規則な起床時間,トイレの不使用,朝食の欠食であることが明らかになった。今後、健康教育を通して、生活リズムの改善や、朝食摂取の推奨などを進めていくことが必要となることが示唆された。上記のように、子どもたちの精神的・身体的健康度・ライフスタイル等の現状を簡易に測定するツールを開発し、それらの関連を分析することは、効果的な健康教育のあり方を提案する上で極めて重要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、1年目に開発途上国の教育研究機関と共同し、①子どもたちの精神的・身体的健康度・ライフスタイル、ソーシャルサポートの現状を簡易に測定するツールを開発し、②経年変化をアセスメントするシステムを構築することを目的とした。具体的には、0)ラオス国立大学教育学部内に共同研究のためのタスクフォースチームを設置した。次に、1)先進国で中、高校生(以下、子ども)の精神的・身体的健康度、ライフスタイル、ソーシャルサポートの実態や相互の関連がどのように評価されてきたかを整理した。さらに、2)ラオス版の子どもの①精神的健康度、②身体的健康度、③ライフスタイルの質問紙を開発した。そして、3)ラオスの都市部および地方で調査を実施し、①-③の相互の関連、開発途上国での応用可能性を検討した。また、次年度以降に予定していた、ラオスの首都(ビエンチャン市)とその近郊(ビエンチャン県)、ラオスの南部(サワンナケート県)での調査を実施することができた。また、当初予定していた人数よりも多くの対象者からデータを収集することができた。上記のとおり、予定していた活動を全てこなすことができ、さらに次年度に予定していた活動を進めることができたため、当初の計画以上に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目は、ラオスの都市部および地方で入手したデータの詳細な分析を進めていく。その際、精神的健康度と身体的健康度の各々の合計得点を目的変数、ライフスタイルとソーシャルサポーに関する質問項目を説明変数として、重回帰分析を行い、相互の関連を検討する。また、ラオスの都市部と農村部での調査データを用いて、地域間の比較を行っていく。さらに、ラオスの現地研究者による自律的・持続的なデータ収集、解析のための課題と支援の方策を検討していく。そのために、タスクフォース内でのミーティング(2回)とメンバーに対する研修を行い、課題と支援の方策を具体化して行く。
|
次年度の研究費の使用計画 |
来年度は、総額150万円を、物品費は、学校保健・健康教育関連の専門書の購入、A4コピー用紙、調査用文具、プリンター用インクなどの購入費として使用する。さらに、国内旅費は、当該分野の研究者との勉強会実施の費用、国内の学会での研究成果の発表の費用などで使用する。さらに、海外旅費は、ラオスへの調査出張、現地の研究者とのラオス国内での移動費として使用する。謝金費は、収集データの入力、資料整理、調査協力者等への謝金の支払いに使用する。そして、そのほかの費用は、論文投稿費や、学会参加費、文献複写代、通信費などで使用する予定である。
|