超高齢社会を迎え,更なる高齢化の進展が見込まれる我が国にとって,介護予防は重要課題である.地域社会における介護予防活動を促進し継続するためには,高齢者の自発的な取り組みを支援(自立支援)し,地域の支え合いシステム(共助)を構築することが求められる. 本研究では,地域で暮らす65歳以上の一般高齢者に対し,自主性発揮・共助の仕組みを引き出す手法として,「エンパワーメント」を重視した住民参加型の介護予防活動を実施し,参加者の生活機能および,共助としての自主グループ活動の活性化に与える効果を明らかにすることを目的とした.
H24-25年度に2地域(介入地域・対照地域)において健康をテーマとした介護予防プログラム及び、事前・事後調査を実施した.介入地域に対しては,高齢者のエンパワーメントを重視した取り組みとして,①「知る」:専門家による講義形式,②「考える」:討議形式,③「共有する」:発表形式,④「行動する」:実習形式,⑤「振り返る」:親睦会形式,の5過程からなるプログラムを実施した.一方,対照地域に対しては,従来型の専門家による講義形式のみを実施した.H26年度は,2地域(介入地域・対照地域)において,プログラム終了後に発生し継続中である自主グループ活動の支援及び追跡調査を実施した.
本課題において,介入地域で実施したエンパワーメントを重視した介護予防プログラムは,講義形式のみ実施した対照地域との比較において,プログラム終了後の地域内自主グループ活動の継続率が有意に高く,高齢者の自発的な取り組み及び,共助のシステム構築に効果があることが示唆された.本研究で得られた結果は,今後一層進展する超高齢社会における介護予防活動を発展させるために,実践的な取り組みとして進めていきたい.今後,本研究結果の詳細について学術発表・論文化をすすめていく.
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