研究課題/領域番号 |
24700735
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
太田 めぐみ 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (20434342)
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キーワード | 姿勢 / 子ども / 足圧分布 / 身体活動量 |
研究概要 |
本研究の目的は、授業中の児童・生徒の姿勢データを取得し、生活習慣・運動習慣との関係を検討すること、姿勢と筋力、骨格筋量、身体活動量との関係を明らかにすることである。そこで、静岡県内の小学校および中学校で授業の様子をビデオ撮影するとともに、400人の児童・生徒に対し、姿勢と運動習慣に関する調査用紙を配布し、回答を得た。教育現場で子どもに接している教員の多くが、姿勢が悪い子どもの増加を実感しているものの、実際に姿勢が悪い子どもがどの程度いるのかは明らかになっていない。したがって、このビデオ画像を分析することにより、実態の一部が明らかになるものと考えられる。また、調査用紙から、小学生では、授業中に足を後ろに曲げたり、頬杖をつくことが多いと回答する児童が目立ち、中学生では足を前に伸ばしたり、机に伏せることが増える傾向にあることがわかった。また70%を超える児童・生徒が、姿勢が悪いと感じている(よく感じている・時々感じている)ことが明らかになった。 さらに、静岡県内の中学校で23人の生徒を対象に、立位姿勢、足圧分布(重心の前後・左右の偏り)、体幹筋力(背筋力、上体起こし)、身体組成に関する測定を実施した。その結果、重心の前後の偏りと、体幹の筋力の間に有意な相関関係は認められなかったが、重心の左右の偏りが大きいと下肢筋量の左右差が大きくなる傾向が見られた(r = -0.431、p = 0.051)。しかしながら、必ずしも、利き足でより多くの体重を保持している訳ではない可能性も伺え、より詳細な検討が必要であると考えられた。また、この中学校の養護教諭と姿勢に関する意見を交換した。その際に、脊柱彎曲などの問題がある生徒が授業中の姿勢が悪いと評価されている訳ではないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、授業中の児童・生徒の姿勢データを取得し、生活習慣・運動習慣との関係を検討すること、姿勢と筋力、骨格筋量、身体活動量との関係を明らかにすることである。平成24年度は、第1段階として、姿勢の観察・評価と生活習慣・運動量の調査を実施し、第2段階として、第1段階で姿勢が良い/悪いと評価された児童・生徒を対象とした測定を実施する計画であったが、平成24年度終了時では、計画がやや遅れていた。そこで、平成25年度の前半は、姿勢の観察・評価と生活習慣・運動量の調査に重点を置くこととし、静岡県内の小学校・中学校で、小学4年生から中学3年生まで、授業中の姿勢観察を行った。机の配列に応じ、最大3方向から、異なる科目で複数時間のビデオ撮影を行った。また、対象となった学年の全児童・全生徒を対象に姿勢と運動習慣に関する調査を行った。本研究で取得したビデオ画像を分析することで、授業中に姿勢が悪い子どもがどの程度いるのかを示すことができると考えられる。ビデオ画像から、客観的な姿勢評価基準を作成することも可能ではないかという期待もあったが、姿勢そのものが悪いのか、授業に集中していないだけなのかの判別ができないケースが多かったため、基準の作成には一層の工夫・調査が必要なことが伺えた。 平成25年度の後半には、第2段階である姿勢が良い/悪いと評価された生徒を対象とした測定を行い、立位姿勢、足圧分布、体幹筋力、身体組成のデータを取得した。その成果の一部を昨年度開催された国内学会にて発表した。 身体活動量の測定については、装置を1週間装着することに関して、協力校との調整ができず、実施することが出来なかったことから、今年度、再度交渉・実施をする方針である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、身体活動量と姿勢に関する測定を行う。平成25年度に調査・測定を行った中学校に対し、再度協力を依頼する予定であり、平成25年度中に口頭にて依頼済みである。立位姿勢、足圧分布、体幹筋力、身体組成といったデータを追加で取得するとともに、姿勢が良い/悪い子ども合わせて10名程度を対象に身体活動量の測定行う。学校行事がなく、過ごしやすい時期に概ね1週間、身体活動量計を装着してもらう予定である。 また、可能であれば、筋量、筋力、身体活動量のいずれかが低く、姿勢が悪い子どもに対し、運動プログラムを実施することで、姿勢の改善が図れるかどうかについても、取り組みたいと考えている。 平成25年度に行った測定データで、分析中のものについては、今年・秋に開催される国内学会で葉発表予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
身体活動量の測定を実施する予定であったが、協力校との調整がつかなかったことから、実施できなかった。このため、測定協力者に謝金として支出予定の金額が余ることとなった。 身体活動量の測定協力者に対する謝金、ならびに測定実施に伴う出張旅費、測定結果返却に伴う雑費等として支出する予定である。
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