本研究の目的は、児童・生徒の姿勢と生活習慣・運動習慣との関係を検討すること、さらに、立位姿勢と筋力、骨格筋量、身体活動量との関係を明らかにすることである。 最終年度の成果:女子中学生10名を対象に、立位姿勢、足圧分布(重心の前後・左右の偏り)、体幹筋力(背筋力、上体起こし)、骨格筋量、身体活動量の測定を行った。立位姿勢から、姿勢が良い群と悪い群に分け、測定値を比較した。その結果、足圧分布、体幹筋力、骨格筋量、身体活動量のいずれにおいても、両群間で有意な差は確認されなかった。 期間を通した成果:400人の児童・生徒を対象に姿勢と運動習慣に関する調査を行った結果、小学生では、授業中に足を後ろに曲げたり、頬杖をつくことが多いと回答する児童が目立ち、中学生では足を前に伸ばしたり、机に伏せることが増える傾向が見られた。また、調査対象者の70%以上が、姿勢が悪いと感じている(よく感じている・時々感じている)ことが明らかになった。また。中学生のおよそ45%以上が、普段良い姿勢でいることを意識していないことも明らかになった。 静岡県内の中学校で、授業中のビデオ映像から、姿勢の良い生徒11人、悪い生徒12人をそれぞれ選出し、前述の調査結果を比較したところ、自身の姿勢への意識は、姿勢が良いと判断された群で高い傾向を示した。しかしながら、1週間当たりの運動実施回数や時間は両群に差は見られなかった。さらに、立位姿勢、足圧分布、体幹筋力、骨格筋量の測定を実施したところ、授業中の姿勢と立位姿勢は必ずしも一致しないことが示された。一方、重心の左右の偏りが大きいと下肢筋量の左右差が大きくなる傾向が見られた。 これらの結果から、自身の姿勢に対して意識を高める必要性があることが伺えた。また、運動実施状況や身体活動量は姿勢に大きな影響を与えないものの、体幹や下肢の筋量が姿勢に関与している可能性が示唆された。
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