研究課題/領域番号 |
24700737
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
片山 靖富 皇學館大学, 教育学部, 准教授 (50513371)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 減量プログラム / 減量効果 / 費用対効果 |
研究概要 |
本研究の目的は、体重減少(減量)プログラムにおける指導回数や期間と効果との関係を明らかにすることと、プログラムを体重減少量および費用対効果など複数の指標から包括的に評価することとした。 指導回数と期間が異なる3種類の減量群(週1回教室3ヵ月群、週2回教室3ヵ月群、週2回教室1.5ヵ月群)の体重減少量、脱落者数、1年後の体重維持効果、費用対効果を比較したところ、指導回数が多いほど減量効果が大きくなることが明らかとなった。また、週2回教室1.5ヵ月群の体重減少量は他の群に比べ、最も小さい傾向にあるが、コストが最も低く(少なく)抑えられたため、費用対効果(体重1kg減少あたり、スタッフに係るコストあたり、減量・教室開催期間あたり)が最も高い(良い)結果が得られた。さらに減量群を自由選択した場合と自由選択できずに指導回数の多い群に割り当てられた場合(週1回教室自由選択群、週2回教室自由選択群、週2回教室非自由選択群:それぞれ3ヵ月間の介入期間)の効果について比較したところ、講義回数が多いほど効果が大きいだけでなく、非自由選択群は脱落者数が多くなる傾向が認められた。多くの対象者が脱落することなく減量を達成するためには、ニーズ(希望)に沿ったプログラムを提供することの必要性が示唆された。 以上のことから、指導回数と効果に正の関係性が示唆されたことは、減量・健康教育をおこなう上で学術的意義が高いと言える。また、ニーズに沿った中で指導回数を最大限に確保することが、大きな減量効果を得られると考えられたこと、プログラムを提供する側には、コストと効果には負の関係が示唆されたことから、今後、提供する側の予算に応じて効果を試算したり、求める効果から予算やコストを試算したりできるような、汎用性のある減量プログラムの開発に貢献できると考えられ、社会的意義も高いと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、設定した比較対象6群(うち1群は実施可能性が低いため、実質5群による比較検討)のうち、3群でのデータ収集が終わり、結果を示すことができたことから、達成度は順調であるといえる。ただし、ランダムに群分けした(非自由選択)場合と非ランダム(自由選択)した場合で結果(効果)が異なる要因に、ニーズまたはモチベーションによる影響の可能性が明らかになったことから、非自由選択群同士での比較研究と自由選択群同士の比較研究をおこなう必要が出てきた。 また、残り2つの群(それぞれ6ヵ月間の教室)の1つ(2週1回教室6ヵ月群)の参加者募集をおこなったところ、募集方法はこれまでと同様の方法(データ収集ができた3群より、都市圏に近く人口の多い地域で募集していること、これまでの地域情報誌のみの募集方法より、多くの地域住民へ募集内容が届くよう新聞の折込広告を用いたことから、むしろ好条件であったと言える)であったにも関わらず、僅か3名の応募しか集まらなかった。6ヵ月間の教室にはニーズが低いものと推察される。また、参加希望者の多寡も教室の効果を評価する指標になり得る可能性がある。指導回数と効果との関係をより詳細に検討するためには、6ヵ月間の教室を開催し、データを収集する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
参加者に、指導回数の多い教室(週2回教室3ヵ月群)と少ない教室(週1回教室3ヵ月群)を自由に選択してもらった結果、指導回数の少ない教室を希望した参加者が多かったことから、6ヵ月間の教室にはニーズが低いと考えられ、6ヵ月間の教室(群)の参加者を集めることは非常に困難になる可能性がある。ただし、指導回数と効果との関係をより詳細に検討するためには、6ヵ月間の教室を開催し、データを収集する必要がある。再度、残り2群(2週1回教室6ヵ月群、週1回教室6ヵ月群)の募集をおこないデータを収集するよう努める。 ニーズに添えず教室を自由に選択できなかった群は、自由に選択できた群と比べ減量効果が小さかったことと、脱落者が多かったことから、ニーズの低い教室に参加させられた場合、モチベーションが低下する可能性がある。また、指導回数の少ない教室を希望した参加者が多かったことから、指導回数の少ない教室にニーズがあるものと考えられる。そのような状況で、ランダム比較試験をおこなうと、指導回数の多い(ニーズの低い)群にはモチベーションの低い参加者に偏る可能性がある。ランダム比較試験だけでなく、自由選択群同士による非ランダム比較試験もおこない、ニーズやそれによるモチベーションの影響を考慮に入れ、指導回数や期間と効果との関係やプログラムを体重減少量および費用対効果など複数の指標から包括的に評価していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
参加者(2週1回教室6ヵ月群と週1回教室6ヵ月群)の募集に係る地域情報誌等への掲載料、参加者への郵送・通信費、参加者が加入する保険代、国内外の学会参加および研究協力者との研究打ち合わせや情報収集に係る旅費、データ入力・データ収集補助者などへの謝金、論文投稿料などを予定している。
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