研究課題/領域番号 |
24700737
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研究機関 | 皇學館大学 |
研究代表者 |
片山 靖富 皇學館大学, 教育学部, 准教授 (50513371)
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キーワード | 減量プログラム / 減量効果 / 費用対効果 / 脱落者数・率 / ニーズ |
研究概要 |
本研究の目的は,体重減少(減量)プログラムにおける指導回数や期間などの教育条件と効果との関係を明らかにし,汎用性のある減量プログラムを作成すべく,減量幅や費用対効果,脱落者数/率などの指標から包括的に評価することとした.指導内容,形態(対面集団指導),指導総時間数を均一にし,指導回数と期間が異なる4種類(週1回指導3ヵ月群,週2回指導3ヵ月群,週2回指導1.5ヵ月群,週1回指導6ヵ月群)を比較したところ,週2回指導3ヵ月群(指導回数24回)と週1回指導3ヵ月群(指導回数12回)の減量幅が最も大きかった.週2回指導1.5ヵ月群(指導回数12回)の減量幅は最も小さかったが期間が短い分コストが最も低く,費用対効果(①体重減少1kgあたり,②スタッフ人件費等教室運営に係るコストあたり,③期間1日あたり)が最も高かった.一方,週1回指導6ヵ月群(指導回数12回)は指導期間が他の群よりも長いにも関わらず,減量幅は3ヵ月群と差が無かった. 平成24年に実施した2週1回指導6ヵ月群の参加者は僅か3名しかなく,欠席も多くデータ収集ができなかった.平成25年に実施した週1回指導6ヵ月群も参加者が10名と少なかった.また,週1回指導3ヵ月と週2回指導3ヵ月の2教室を用意し,参加者に自由選択してもらった群と自由選択を認めなかった群では,自由選択群の脱落率が最も低かった.現在,わが国では特定保健指導の低実施(参加)率が課題である.参加者を増やすためには,参加者のニーズに沿った教室や複数の教室を用意し,選択できるようにすることが効果的かもしれない. 指導回数・期間と減量効果にはある一定のポイント(指導回数は12回程度,期間は3ヵ月程度)までは効果が期待されるが,回数や期間(プログラム実施者側の負担)が増すと費用対効果は小さくなる.また,参加者のニーズが効果(参加・脱落数)に影響することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では,設定した比較対象群6群(うち1群は実施可能性が低いため,実質5群による比較検討)のうち,4群でのデータ収集が終了し,結果を示すことができた.指導回数が多く,期間は3ヵ月の群が最も減量効果が大きいが,指導回数・期間の増加とともに費用対効果は下がること,参加者の減量プログラムに対するニーズが効果に影響を及ぼすことが示唆されたことといった一定の結果を得ることができた.したがって,達成度は順調であると言える. 残り1群(2週1回指導6ヵ月群)については,平成24年度に参加者の募集をしたものの僅か3名しか集まらず,さらには出席率は低く教室終了直後のデータ収集ができなかった.平成25年度に実施した週1回指導6ヵ月群においても参加者が10名と少なかったことから,ニーズが無いと考えられた.減量プログラムに対するニーズを調査した結果,減量実施期間が6ヵ月以上を希望する者はほとんど無く,3ヵ月以内が最も多かった.また,指導実施頻度も週1回のペースを希望する者が最も多いことからも,2週1回指導6ヵ月へのニーズは非常に小さく,参加者も集まりにくいことから,実施可能性が低いことが確認された.週1回指導6ヵ月群への参加者は他の群に比べ非常に少ないものの,一定のデータを収集できた.しかしながら,指導回数や期間と効果との関係をより詳細に明らかにするためには,今後もこの群の標本を増やすよう努めていく必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
2週1回指導6ヵ月群と週1回指導6ヵ月群の参加者をこれまでと同様に募集したが,1.5ヵ月群や3ヵ月群に比べて参加者が少なかった.また平成24年度では,参加者に週2回指導3ヵ月群と週1回指導3ヵ月群のどちらかを自由に選択・参加してもらったところ,週2回群を希望する者が少なかった.さらには,希望に添えず週2回群に割り当てられた参加者は週1回群よりも体重減少量が大きかったものの,希望して参加した週2回群よりも体重減少量が小さく,どの群よりも脱落者数も多かった.したがって,参加者のニーズ・ウォンツが減量効果などに影響することが示唆された.それを受けて,減量希望者を対象に減量プログラムに対するニーズ・ウォンツ調査を行なったところ,3ヵ月程度のプログラム期間を希望する者が最も多いことが明らかとなった.したがって,6ヵ月間のプログラム参加者を集めることは非常に困難になることが予想されるが,今後も,6ヵ月群の参加者・データ数を増やせるよう努めていく. また,ニーズ・ウォンツが効果に影響を及ぼす可能性があることから,ニーズ・ウォンツ調査の結果を基にした減量プログラムを作成し,そのプログラムを用いた減量教室の効果検証を追加する.これによって,本研究の目的である,汎用性の高い減量プログラムの開発に,新たな知見が加えられると期待される.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が120円と僅かであるため,想定していた計画通り予算を執行できたとものと考えている. 物品,消耗品の購入に充てる予定.
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