研究概要 |
本研究では,多人数の身体活動量を同時一斉に高精度で評価できる身体活動分析システムを開発してきた.開発したシステムを用いて全国2,298人(30~69歳)を対象としたデータ分析により,日常生活,移動,仕事,運動・スポーツの行動別のエネルギー消費量に加え,座位時間と活動時間の関係,居住している都市規模による身体活動の比較,交通行動と身体活動の関係などを明らかにしてきた.仕事における座位時間の長さが,移動時の歩行時間以上に身体活動量に影響している可能性を示した.次に,小学1~6年生とその親266組,計524人を対象に,子どもと親の身体活動の関係について調査を行った.休日1日における身体活動(平均METs)において,小学1-2年生とその親の間にr= 0.481(p<0.01), 小学3-4年生とその親の間にr= 0.572 (p<0.01)の有意な相関関係が見られたが,小学5-6年生とその親の間には関連は見られなかった.一方,不活動に影響するテレビ視聴時間では3-4年生とその親の間にr= 0.560(P<0.01),TVゲーム時間では1-2年生とその親の間にr= 0.576(P<0.01)の相関関係が見られた.低~中学年において身体活動に影響するスポーツ,不活動の原因となるテレビ視聴,TVゲームなどの行動は親の影響を一定の割合で受ける可能性が示唆された.これらの研究結果をフィードバックできるシステム開発に向け,個々のライフパターンを可視化しフィードバックするための基礎的分析を行った.ユーザーの意志で変えられる可変因子と,容易には変えられない制約因子に分け,データマイニングの手法である自己組織化マップを用いて,ユーザの環境に合わせた個別マップを生成し,フィードバック方法について検討してきた.
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