研究課題/領域番号 |
24700744
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
助友 裕子 独立行政法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 研究員 (50459020)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / アメリカ |
研究概要 |
国民の2人に1人が一生涯のうちにがんに罹患すると推計されており、がん対策は喫緊の課題である。地域でがん対策を推進するには、科学的根拠のあるがん対策情報を普及させると同時に、国民ががんに目を向ける文化を育む必要がある。本研究は、自治体の市民向け講座でがん対策情報を地域住民に普及させるためのプログラムを開発し(=LPMの構築)、プログラムを実施した時に、地域住民のがん対策情報認知度および態度にどの程度影響するのかを検証することを目的とする。 平成24年度は、がん対策情報普及のためのLPM(Learning Partner Model)先進地(米国)においてインタビュー調査と視察を行った。がん対策情報普及のための住民組織活動の評価結果等については公表されているが、活動の背景や介入プログラム構築プロセスについては明らかになっていないことから、フォーカスグループおよびキーインフォーマント20名を対象とした自由回答形式による半構造化インタビューを行い、がん対策情報普及プログラム作成のあり方、がん対策情報普及プログラム推進のあり方についての意見について聞き取りを実施した。 その結果、全米規模で養成されているCommunity Health Advisor(以下、CHA)という住民ボランティアが校区単位の地区で講師となって住民を対象とした講座の開催に至るまでのプロセスが明らかとなった。CHAが開催する講座を受講する者には、全12回のクラスにおける学習内容を共有する学習パートナーを設けることが求められ、全12回が終了すると受講者と学習パートナーともに修了証が授与される仕組みとなっていた。わが国においても行政事業協力型保健ボランティアによるがんの教育や普及啓発の有効性を高めるために、具体的な普及対象を選定し評価するための仕組みづくりを再考する必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3年計画の1年目であり、2年目に介入および評価を実施するための基盤構築が主たる計画であった。具体的には、先進事例の調査、国内介入地域の調整を実施することになっており、その双方とも実施は完了している。 ただし、先進事例の調査においては、当初の計画では、キーインフォーマント5名程度によるインタビュー調査を予定していたが、現地での調整を進める段階で、介入の主たる実施主体である住民ボランティアについても聞き取りを実施した方がより有益な情報が得られると判断したことから、フォーカスグループによるインタビュー調査も追加で実施している。この点が、当初の計画と異なる点であるため、現在までの達成度は「おおむね順調」と判断した。 なお、国内の介入地域については、都市部と地方部 各1地域を調整することとしており、東京都品川区(都市部)と千葉県白井市(地方部)の行政担当部署において調査協力の承諾を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、介入プログラムの作成と実施および事前事後調査、平成26年度は、LPMに基づいたプログラムの完成および本研究のまとめを予定している。 まず、介入プログラムの作成においては、介入対象自治体それぞれにおいて、がん対策行政担当者、研究者などによるグループワークを行い、科学的根拠に基づいたがん対策情報を地域住民に普及させるための方策を検討しながら、プログラムを作成する。次に、各自治体担当者との話し合いの結果、事前・事後調査では、質問紙を用いた配票留置法および郵送法によらない回収を基本とし、回収率の向上に努めることとした。 本研究では行政事業への参加機会の少ない地域住民も視野に入れていることから、先行研究のLPMに基づき、自治体の主催する市民向け講座を受講した地域住民(以下、第1学習者とする)およびその家族または友人(以下、第2学習者とする)を対象としている。介入方法については、各自治体行政担当者と密に連携を図りながら慎重な対応を検討することが必要であると考えている。 このようなプロセスを経て、プログラムを評価しながら、最終年度(平成26年度)にLPMに基づいたプログラムをまとめ、一般化するための評価を行っていく。地域でのがん対策情報普及のための実践にもとづくプロセス評価を加味しながら、介入プログラムを分かりやすく整理する。プログラム実施にともなう普及効果に視点をあてて報告書を作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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