研究課題/領域番号 |
24700745
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉野 公三 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (10358343)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 行動 / 心拍 / 抑うつ / 日常生活 / 住宅 / 自律神経 / 気分 / 人間 |
研究概要 |
鬱病はある程度まで重症化した場合には再発率の高い病であるため,体の病と同様に,前兆検知や早期発見は非常に重要である.これまでにこれを可能にする確立された方法はない.本研究は比較的健康な状態から鬱病を発症するに至る過程のおける行動・生理・心理それぞれのパターンの遷移プロセスを明らかにすることを目的とする.このプロセスが明らかになれば,鬱病の前兆検知や早期発見に対する可能性が出てくる.今年度は対照群となる健常な家族4名を対象とした3ヶ月間にわたる実験住宅内滞在実験を行った.被験者の3ヶ月間にわたる住宅内の生活行動パターンを,住宅内に設置した焦電型人感センサ,家電機器や家具に設置したセンサなどを用いて測定した.さらに,被験者は携帯型心拍変動・身体加速度計を装着して生活した.その計測データを用いて,生活中の自律神経系活動バランスと睡眠覚醒リズム,生活活動度の変動パターンを数量化した.さらに,被験者は心理状態評価質問紙に回答し,そのデータを用いて心理状態の変動を記録した.以上のデータを基に健常者の長期間にわたる日常生活中の行動・生理・心理パターンに関するデータを蓄積することができ,平成25年度に実施する抑うつ傾向の強い被験者のパターンと比較するために利用する.また,本実験により,実験の安全性を確認することができ,それを基に人間工学実験倫理委員会に申請した結果,抑うつ傾向の強い被験者を対象に本実験を実施することに対する承認を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人間工学実験倫理委員会の承認を頂くのに時間を要したことと被験者を探すのが困難であったことからやや遅れているが,対照群となる健常者の家族のデータを蓄積できた.さらに,その実験における安全性の確認ができたことから人間工学実験倫理委員会の承認を最終的に頂くことができた.また,精神科医との連携体制を構築することができたので,平成25年度には被験者を選定し,抑うつ傾向の強い被験者を対象とした実験を行うことができる状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降は抑うつ強い傾向の強い被験者を含む家族を対象とした被験者実験を実施し,平成24年度に蓄積した健常者を対象とした家族のデータと比較することで,行動生理信号を用いた抑うつ状態評価技術の第一案の構築を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に,被験者謝金に約135万円を使用し,実験用消耗品に約45万円を使用する予定である.さらに,実験に関わる役務費用に約30万円を使用する予定である.これらの他に旅費に約30万円を使用する予定である.
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