研究課題/領域番号 |
24700745
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉野 公三 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (10358343)
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キーワード | 抑うつ / うつ病 / 生活行動 / 心拍 / 自律神経 / 人感センサ / 身体加速度 / 活動 |
研究概要 |
平成25年度は2家族(被験対象計4名)が各々3ヶ月間,産総研関西センターの実験住宅に被験者として滞在した.実験参加前に全被験者からインフォームドコンセントを得た.実験は産総研人間工学実験倫理委員会の承認のもとに行った.精神科医による診察の結果,被験者はいずれも鬱病を発症していないことを確認した.被験者は身体加速度計を装着して生活し,睡眠時には携帯型心拍変動計を装着した.その計測データを用いて,生活活動度の変動パターンと睡眠時の自律神経系活動バランスを数量化した.さらに,被験者は心理状態評価質問紙に回答し,そのデータを用いて心理状態の変動を記録した.精神科医の定期的な診察の結果,実験期間中に鬱病を発症した者はいなかったが,1名(以降,被験者A)は3ヶ月間のうち後半より徐々にSDSスコアが上昇し,別の1名(以降,被験者B)は3ヶ月目に急にSDSのスコアが低下し,POMSの活気スコアが上昇した.残る2名は休日効果を除けば,心理状態は安定していた.被験者Aの後半の睡眠時心拍数は前半のそれに比べて高い値を示した.被験者Bの3ヶ月目の睡眠時心拍数はそれまでのそれに比べて低い値を示した.さらに,先行研究の中村亨らが考案した1週間の休息期間の継続時間の累積密度分布のべき指数(以降,中村指数)を計測した身体加速度データより算出した.その結果,被験者Aの後半の中村指数は前半のそれに比べて低い値を示した.被験者Bの3ヶ月目の中村指数はそれまでのそれに比べて高い傾向を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生活行動をモニタリングされることを承認いただける被験者を見つけることが予想以上に困難であったため,実験の進捗状況がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
精神科医との連携のもと,生活行動をモニタリングされることにご承認いただける被験者様を対象とした実験を行い,今年度発見した現象の一般性の評価を行う.さらに,実験住宅内の各部屋の天井に設置している非接触型焦電型人感センサデータを用いて,身体加速度計を装着しなくても中村指数を推定する方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
生活行動をモニタリングされることを承認いただける被験者を見つけることが予想以上に困難であったため,被験者謝金の一部などが未使用となった. 一般性評価のための被験者実験を行うことによる被験者謝金とビデオ映像解析のための契約職員雇用費と生活行動計測と解析のための機器の購入を行う.
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