研究課題/領域番号 |
24700746
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研究機関 | 独立行政法人労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
劉 欣欣 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 有害性評価研究グループ, 主任研究員 (10582570)
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キーワード | ストレスマネジメント / 心血管系反応 / 精神作業 / ポジティブ感情 / 精神ストレス |
研究概要 |
本研究は、ポジティブ感情が心血管系反応に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 本年度はi)精神作業前のポジティブ感情が心血管系反応に及ぼす影響、ii)精神作業前のポジティブ感情喚起が心血管系反応に及ぼす影響について検討した。ii)について、精神作業前にInternational Affective Picture System (IAPS)から選んだ60枚の「快」画像(pleasure: 7.14±0.43、 arousal: 4.19±0.65)を参加者に提示する感情誘発条件とグレー画面のみを提示するコントロール条件を比較した。結果、作業前にポジティブ感情を誘発することによって、作業後の血圧の回復を促進することが示され、作業前のポジティブ感情喚起は、精神作業中の血圧上昇の背景メカニズムに影響を与える可能性を示唆している。また、ポジティブ感情喚起の影響は、作業課題の種類によって異なる可能性も示唆された。一方、i)では、実験参加者を日本語版PANAS(Positive and Negative Affect Schedule、佐藤・安田、2001)のスコアに基づいてポジティブ感情群とネガティブ感情群に分け、作業中の心血管系反応を比較した。結果、心血管系反応の個人差が予想より大きかったため、グループ間の差が認められなかった。これらの結果を考慮し、来年度は引き続き参加者数を増やし、追加実験を行うこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、ほぼ予定通りに研究を進んでいる。但し、i)精神作業前のポジティブ感情が心血管系反応に及ぼす影響において、追加実験が必要となった。ii)精神作業前のポジティブ感情喚起が心血管系反応に及ぼす影響については、当初予定していた感情の喚起方法(教示)と異なる方法(ポジティブ画像の提示)を用いた。また、異なる作業課題(持続的注意課題(Sustained Attention to Response Task)と認知的葛藤課題(Stroop Color Word Task))を用いることによって、より詳細にポジティブ感情の影響を検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終年度(3年目)となる平成26年度は、平成25年度に続き、精神作業前の感情が心血管系反応に及ぼす影響について個人差を考慮した追加実験を行う予定である。また、精神作業中のポジティブ感情喚起の効果について、異なる感情の操作方法(例えば教示など)を用いて更なる検討を進める予定である。これらの成果を踏まえ、最終的にはポジティブ感情喚起をストレスマネジメントへと応用し得る可能性について検討する。研究の成果を国内外の学会にて報告する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験補助者謝金の60万円および調査旅費の30万円を支出しなかったため、全て次年度に繰り越した。 次年度は3年計画の最終年度となる。上述の実験を行うため、次年度の研究費(約180万円)は実験参加者謝金(60万円)、補助者謝金(40万円)に支出する予定である。その他、学会発表や研究協力者との打ち合わせ旅費(40万円)、実験消耗品等(40万)への支出を予定している。
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