研究課題
前年度の鼻腔内黄色ブドウ球菌のサーベイランスの結果から、ラグビー、柔道、アメリカンフットボール等の接触を伴うスポーツ競技のチーム内に2割弱の鼻腔内黄色ブドウ球菌持続保菌者が特定された。本保菌者が問題となるのは、①保菌者自身が本感染症の危険に曝されていること(自己感染)、②保菌者の手指がベクターとなりチーム内で拡がる(接触伝播)ことの2点である。本保菌者がどのように集団内で感染拡大に寄与しているのかについて精査することは、スポーツ現場での本感染症の防疫対策を講じる上で重要である。H25年度は、鼻腔内保菌者からの菌がどのように拡大するのかについて調べるため、運動時の体表黄色ブドウ球菌量の違いについて鼻腔内保菌者及び非保菌者間で比較検討した。【結果の概要】鼻腔内黄色ブドウ球菌保菌者は、運動後発汗と共に体表の菌量が増加することが明らかとなった。また鼻腔内菌量が多いほど運動後体表に菌量が増加することが分かった。よって接触を介したスポーツにおいて主要な菌の汚染源となると考えられる。【本研究結果の重要性】本研究の結果は、前年度に報告したラグビーでの接触頻度の高いフォワードの選手で本感染症に罹患した選手が多かったという証拠を支持するものであると考えられる。従来、コンタクトスポーツにおける本感染症は、接触を介して菌が集団内で拡がると考えられてきた。さらに本研究により、鼻腔内保菌者は、運動時の発汗と共に効率よく体表に菌が露出するという新たな知見を得ることが出来た。
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筑波大学体育系紀要
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Proceeding of the 2013 International Budo Conference
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