本研究の目的は、高齢者の転倒回避能力のスクリーニングテストを開発すること、及びその改善エクササイズプログラムを提案することである。本研究では、股関節方略による姿勢回復動作に着目した。易転倒性高齢者の多くは、随意的な股関節運動であってもダイナミックに腰を移動できないことから、立位姿勢からの股関節前後移動距離測定を考案した。股関節前後移動距離は、転倒経験により有意差が認められ、生活空間を判別しうる最適なカットオフ値は17.5cmであることが明らかにされた。また、易転倒性高齢者に対して、股関節を前後、左右、回旋させる体操を実施した結果、股関節前後移動距離に加え、種々の身体機能の改善が認められた。
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