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2012 年度 実施状況報告書

加齢による筋萎縮の分子メカニズム解明-脱アセチル化による筋萎縮制御機構-

研究課題

研究課題/領域番号 24700753
研究機関徳島大学

研究代表者

平坂 勝也  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70432747)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード加齢 / ユビキチンリガーゼ / 脱アセチル化
研究概要

超高齢者社会を迎えている我が国において、加齢による筋萎縮 (サルコペニア) の予防は高齢者のquality of life (QOL) 向上と運動器症候群 (ロコモティブシンドローム) 発症予防に重要である。炎症性サイトカインはサルコペニアの原因の一つであり、それはユビキチンプロテアソーム依存性の蛋白質分解経路を活性化することによって筋萎縮を引き起こす。本研究では、サルコペニアの発症メカニズムを明らかにすることが目的とした。マウス由来筋管C2C12細胞において、炎症性サイトカインであるTNF-a処理は筋特異的ユビキチンリガーゼであるMuRF1の発現を誘導し、筋管萎縮を引き起こした。一方、もう一つの筋特異的ユビキチンリガーゼであるatrogin-1の発現には影響しなかった。次に、TNF-aによるMuRF1の発現調節を検討した結果、NFkBのアセチル化ミュータント (アセチル化部位の点変異) や脱アセチル化酵素であるSIRT1の活性化剤はMuRF1の転写活性を阻害した。したがって、TNF-aによるMuRF1の発現調節にはNFkBのアセチル化が重要な働きをしていることが示唆された。以上の結果より、SIRT1を活性化することによってMuRF1を介した筋萎縮を予防することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

24年度予定の研究項目であったNFkBのアセチル化ミュータント (アセチル化部位の点変異) や脱アセチル化酵素であるSIRT1の活性化によるMuRF1転写活性の阻害効果を証明した。24年度までの研究により、当初の予定通り、炎症性サイトカインによるMuRF1の発現調節にはNFkBのアセチル化が重要な働きをしているという証明を達成した。

今後の研究の推進方策

老齢MuRF1ノックアウトマウスの筋萎縮に対する抵抗性の解析
ユビキチンリガーゼであるMuRF1は主に、筋構成蛋白質をユビキチン化することが知られており、MuRF1ノックアウトマウスは筋萎縮モデルに供しても速筋の萎縮が起こらないことを発見した。サルコペニアは速筋特異的に萎縮が起こることからMuRF1が原因因子の1つであることが考えられる。本年度はMuRF1ノックアウトマウスが老化による筋萎縮に対して抵抗性を示すこと証明する。具体的には、老齢マウスでは血中の炎症性サイトカインの上昇が考えられるが、MuRF1ノックアウトマウスではこのシグナルの下流にあるMuRF1が活性化しないため速筋の分解が起こらないことを免疫染色やウエスタンブロット法などを用いて証明する。本研究で使用する老齢マウスは24ヶ月齢マウスを用いる。本年度、24ヶ月齢のマウスの飼育(対照群は3ヶ月齢)が終了するため、上記に示した解析を行う。
サルコペニアに対するカロリー制限の効果
サーチュインはカロリー制限の抗老化作用、寿命延伸作用を媒介することが知られている。サーチュインはサルコペニアにおいて、MuRF1の転写因子であるNFkB/p65の脱アセチル化を介して、筋萎縮予防にも寄与することが考えられる。そこで、40%カロリー制限した老齢マウスを用いて、サルコペニアに対する影響を検討する。本研究は長期飼育による継続的な解析を行うためマイクロCTにより筋萎縮の動向を前年度同様観察していく。さらに、カロリー制限食群が老齢MuRF1ノックアウトマウスの表現型と類似して、速筋線維の分解が起こらないことを証明する。

次年度の研究費の使用計画

次年度の繰越金は物品費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Isoflavones derived from soy beans prevent MuRF1-mediated muscle atrophy in C2C12 myotubes through SIRT1 activation2013

    • 著者名/発表者名
      Hirasaka K et al
    • 雑誌名

      Journal of Nutrition Science Vitaminology

      巻: 59 ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Unloading stress disturbs muscle regeneration through perturbed recruitment and function of macrophages.2012

    • 著者名/発表者名
      Kohno S et al
    • 雑誌名

      J Appl Physiol.

      巻: 112 ページ: 1773-1782

    • DOI

      10.1152/japplphysiol.00103.2012

    • 査読あり
  • [学会発表] UCP3とHax-1の相互作用によるミトコンドリアへのカルシウムイオン流入の調節機構2012

    • 著者名/発表者名
      池田千佳
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場、マリンメッセ福岡(福岡県)
    • 年月日
      20121214-20121216
  • [学会発表] 加齢による筋萎縮に対する大豆ポリフェノールの効果2012

    • 著者名/発表者名
      前田翼
    • 学会等名
      第45回日本栄養・食糧学会中国・四国支部大会
    • 発表場所
      愛媛大学農学部(愛媛県)
    • 年月日
      20121117-20121118
  • [学会発表] The role of uncouplingprotein 3 on oxidative stress-related muscle atorophy2012

    • 著者名/発表者名
      Katsuya Hirasaka
    • 学会等名
      The American Society for Bone and Mineral Research(ASBMR) Tropical Meeting
    • 発表場所
      The Westin Kansas City at Crown Center(カンザスシティ、USA)
    • 年月日
      20120717-20120718
  • [備考] 徳島大学 生体栄養学分野

    • URL

      http://www.tokushima-u.ac.jp/med/culture/seitaieiyou/

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公開日: 2014-07-24  

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