研究課題
超高齢者社会を迎えている我国では、加齢による筋萎縮(サルコペニア)の予防は高齢者のquality of life (QOL)向上と運動器症候群(ロコモティブシンドローム)発症予防に重要である。炎症性サイトカインはサルコペニアの原因の一つであり、ユビキチンプロテアソーム依存性の蛋白質分解経路を活性化することによって筋萎縮を引き起こす。本研究では、サルコペニアの発症メカニズムを明らかにすることを目的とした。マウス由来C2C12筋管細胞において、TNF-alpha処理は筋特異的ユビキチンリガーゼであるMuRF1の発現を誘導し、筋管萎縮を引き起こした。一方、もう一つの筋特異的ユビキチンリガーゼであるatrogin-1の発現には影響しなかった。さらに、TNF-alphaによるMuRF1の発現調節にはNFkBのアセチル化が重要な働きをしていることを見出した。実際に、NFkBのアセチル化ミュータントや脱アセチル化酵素であるSIRT1の強発現はMuRF1の転写活性を阻害した。これらの結果はTNF-alphaによるMuRF1の発現調節にはNFkBのアセチル化が重要な働きをしていることを示唆するものである。老齢マウスを用いた研究において、骨格筋でNFkB/p65のアセチル化が検出された。これらの結果を基に、MuRF1遺伝子欠損マウスがサルコペニアに対して抵抗性を示すか検討したところ、MuRF1遺伝子欠損マウスは老化による筋萎縮に対して抵抗性を示すだけでなく、筋線維内脂肪蓄積も抑制した。したがって、MuRF1の発現抑制はサルコペニアの予防に繋がりうると考えられた。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
J Nutr Sci Vitaminol
巻: 59 ページ: 317-324
Diabetes
巻: 62 ページ: 1957-1969
10.2337/db12-0677
Int J Endocrinol
巻: 907565 ページ: 907565
10.1155/2013/907565